「マザック・マザック ー幼少の記憶」展

HAPPENINGText: Fann ZJ

マザック・マザックは、マレー語で料理を意味する言葉だが、おままごとでもよく使われる。誰かが「マザック・マザック」と言うと、幼少期のシンプルな時間の記憶が甦る。タブレット端末やテレビ番組、オンラインゲームが主流な今の時代に、シンガポール国立博物館は、学校が休みの日に色々な現代メディアに精通した子供たちにそうしたシンプルな遊びや楽しさを与えてくれる。

come%20and%20play%20by%20justin%20lee.jpg
Justin Lee’s “Come and Play”

まず、ジャスティン・リーの作品「カム&プレイ」のところで日常世界から切り替わる。段ボールだけで作られた巨大なインスタレーションで、子供たちは各々理想の世界を作り上げることができるのだ。子供のイマジネーションは無限大だ。段ボール箱は家にもショップにも自動販売機にもなる。それこそがリーが作り上げた様々な形状やシナリオの神髄といえる。段ボールの船や飛行機、森や家…子供たちは創造力をフル活用して空間や子供同士でコミュニケーションをとるのだ(iPadがなくても)。

singapore%20bouncy%20playgrounds.jpg
“Bouncy Castles and Squeals”

続いて、象や龍などシンガポールの象徴的な動物の遊具がある昔ながらの公園を思い起こさせるのだが、(砂場がなくても)空気で膨らませたビニール遊具を博物館に面した芝生の上に置き、そのイメージを再現することでシンガポール国立博物館は1980年代の典型的な幼少期に敬意を表した。色鮮やかな弾む動物とはしゃぐ声を想像して欲しい。

marbles.jpg
“The Humble Marble”

SOTAの生徒たちも、会場の一番手前にちょっとしたビー玉遊びのような遊具を持ち込んだ。現代風にアレンジされてはいるものの、オンラインゲームとは違って遊び方はシンプル。できるだけ真ん中で沢山のボールを集めることだが、途中にある障害物を避けなくてはならない。この遊びはデジタルよりもずっと難しい。指で画面をスワイプする代わりに、物理的な正確さや強弱、技術が必要なのだから。

sticks.jpg
“The humble game of pick-up sticks”

スティック拾いというシンプルな遊びにも、SOTAの生徒たちが新しいルールを作り出した。スティックに触れずに他のスティックを動かす代わりに、参加者は短時間でタワーや別の建造物を作ることになる。タワーを壊さずにピースを動かすこともできる。ブロックではなく、スティックを使ったジェンガだと思ってくれればいい。

スタンフォードガーデンのバイヤン・ツリーの下ではとっておきの屋外上映会が行なわれ、アイスクリーム屋台や色々なワークショップなど、子供だけではなく大人のなかにいる子供が目を覚ますような遊びが満載。「マザック・マザック」と言って遊ぶのに年齢は関係ないのだ。

Masak Masak – My Childhood
会期:2014年5月24日(土)〜8月3日(日)
時間:10:00〜18:00
会場:National Museum of Singapore
住所:93 Stamford Road, Singapore 178897
https://www.nationalmuseum.sg

Text: Fann ZJ
Translation: Aya Shomura
Photos: Courtesy of the National Museum of Singapore

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE