リー・ラナルド
PEOPLEText: Victor Moreno
最近ヨーロッパでペイント作品の展覧会を行っているようですね。
ここ数年展覧会を行ってきたベルギーのギャラリー・ヤン・ドハーゼでドローイング作品の展覧会が先週ちょうどオープンしました。作品は、ツアーを行ってきた過去数年間に制作したものです。車の前の席に座り、道路を走っていく様子をさっと描いた「ロスト・ハイウェイ」という作品があります。道を走る風景は世界のどこにでもありますが、それぞれに名前が付いています。作品は鉛筆やマーカーで描いていて、一瞬のうちにできあがります。常に動いている道路をスケッチするのです。ミュージシャンはいつも道路について書くので、このドローイングを始めることにしました。
Lost Highway
たとえツアーのときでも、他の才能による制作の時間を見るけるのですね!
私にとってはいい方法なのです。
奥様のリア・シンガーさんも協力されているそうですね。
リアは映像を担当してくれ、観客の頭上にギターを吊り下げた映像と音楽を組み合わせたパフォーマンスです。他にも多くのアーティスティックなことを行っています。
芸術の学校を卒業したことで、音楽とアートの組み合わせはあなたにとって自然なのかもしれませんね。
もしアメリカの子供が音楽を演奏したり、よく聴く環境で育ったとしたら、いつも頭の中にポップミュージックのいろんなアイディアが浮かぶでしょう。大学でビジュアルアートを学び、ニューヨークへ渡ったときは、まさにそれらを組み合わせるための時間だったように思います。
これまでのキャリアの中で重要な出来事は何かありましたか?
これまで10~15年ほど自分の作品の展覧会を行ってきましたが、ソニック・ユースでは2008年にヨーロッパをまわる大規模な展覧会を行いました。あなたの故郷マドリード、確かモストレスのCA2Mでも行ったと思います。
私の地元の近所の場所について知っているのが不思議な感じがします。そのときにはマドリードに住んでいませんでしたが、そのときのことを覚えています。その展覧会はどんな内容だったのですか?
多くのアート作品が出展され、関連アーティストも巻き込んだ非常に大規模なものでした。
ヨーロッパツアーを終えて、アジアや日本へ来る予定は決まっていますか?
このバンドで日本に行ったことがないことが、残念なことの一つです。何年か前に日本に行ってから、また行きたくてしょうがないんです。「ホステス」という2つのレコードを日本のレーベルから発売しているのですが、これまでソロプロジェクトでは日本にいったことがないので、来年ぜひ行きたいです。日本にはソニック・ユースのファンが多くいてくださるので、15回程行ったことがあります。
多くの人がいろいろ書いていると思いますが、あなたのギタリストとしてのスタイルはどのように表現できますか?
それを定義する本質とも言える、チューニングについてお話するのが簡単な方法だと思います。私の場合は主にオープンチューニングのギタリストです。標準的なギターは使用しません。多くのオープンチューニングのギタリストがいますが、何千といる標準のギターを演奏するギタリストから、エリック・クラプトンのように際立つのです。通常のコードは弾かず、ちょっと違ったサウンドをつくります。ジョニ・ミッチェルなどアーティストはこのようにして変わったチューニングをすることで、全く違ったサウンドになるのです。
パコ・デ・ルシアのファンなのですよね?ジョン・マクラフリンやアル・ディ・メオラらとともにフラメンコとジャズを組み合わせたパイオニアでしたね。
はい、そうでしたね。
2週間前に亡くなったそうです。
本当に?全く知りませんでした。
なぜこの話をしたかというと、あなたも同様にドローン、ポップ、ロック、エレクトロ、アコースティック、オーケストラなど様々な視点からギターを扱ってきたと思ったからです。
ソニック・ユースでいつも面白かったのは、一方では純粋な曲、もう一方ではそれを即興やノイズミュージックへと発展させるなど、私たちの音楽には全てのパートが含まれていたことです。ここからのスタートとなりますが、現在のバンドでやっている作詞作曲やレアとの活動はもっと抽象的なものです。語れば1時間程の映画にできるかもしれません。ただ様々なものを組み合わせたいのです。ヴァイオリンやチェロのオーケストラのための作品を作り、ただアムステルダム、そしてシドニーでそれぞれ演奏をしてみる、そのような感じで一つのアイディアを様々な方法で試してみたいのです。こういった違ったことをできるキャリアがあることは本当に幸運です。
間違いなく休みはなかなかとれないと思いますが、クリエイティブな意味でのお休みはありますか?
休日は私にとって常に新しい仕事のためのインスピレーションです。このツアーが終わったあとはフランスにソロコンサートに行き、そのあと1週間南フランスで妻と子供たちと休暇を取る予定です。実際は休暇ではなく、彼らがどんな演奏をするかわかりませんが、地元のアマチュアミュージシャンのオーケストラと一緒に演奏し、最後にはコンサートを開くつもりです。こういった時間はリラックスしたり、歌、新しい仕事、ドローイングなど、新しいことを考えることができるいい休暇なのです。
Text: Victor Moreno
Translation: Satsuki Miyanishi