リー・ラナルド

PEOPLEText: Victor Moreno

これまで得てきた多くの豊富な経験と比べて、どのように素朴なアプローチからエネルギーをつくり出していますか?

難しい質問ですね。始めた頃は、私たちがしたいことを知っていました。20年間かそれ以上かけて培う全ての技術をその時は持っていませんでしたが、沢山のオリジナルの姿勢やアイディアがありました。それは今もあまり変わっていません。この点はほとんど同じです。バンドを始めるときはともに活動する人や全てのものを理解しなくてはいけません。私たちがどこに向かっているのか、何をやってきたのか、ソニック・ユースを本当に理解するまでに3、4年かかりましたし、それが新しい道を切り開き経験を与えてくれました。

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soundBarn Press poetry series

それによって物事が今はより明確に見えるのでしょうか?

いえ、そういうわけでもありません(笑)。常に空白がある紙を持っているように、何か新しいことに挑戦するのです。予想外の何かがいつもあります。そう、たぶん私たちアーティストが皆こういった方法で人生をつくり上げているのだと思います。これまでと同じことをしていたい場合以外は、新しいもののために進み続けています。あなたがやろうと思っていることは、常にクエスチョンマークで隠されているのです。

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NSCAD BLACK NOISE 2, drypoint and engraving on vinyl transcription disc
unique proof, plate size 15.5”, paper size: 20.5 X 21 inches, paper: Stonehenge Rising

あなたが手掛けている詩や、文章の作品について伺います。初めに、どのように詩がクリエイティブなもの、媒体として他のアーティスティックな分野と融合できると考えていますか?

長い間読んできたプロが手掛けた多くの詩や書き物のアイディアに触発され、詩を読むことから多くのインスピレーションを得ています。それらは、映像を違った形で表現しようとしていて、小説や新聞よりもペイントに近いものがあると思います。とても抽象的にもなります。私にとっては詩を書いたり、クリエイティブなパワーとして詩を使うことは非常に強力です。もちろん歌詞にしたりもしますが、ペイント、ドローイングなどの作品に言葉を入れたりと、最近はビジュアルアートとも組み合わせています。だから、とても重要なのです。

何かを書いているとき、どのように本に書くプロセスと、それ以外のものに書くプロセスはどのように組み合わせるのですか?

時々、自由なフォームでただ書いているだけなのかわからないときがあると思います。最近は、歌詞を書くときは音楽から始めるので、音楽的な構造が先にあります。これは、ソニック・ユースがいつも行っていた方法です。音楽が最初にあり、それから言葉がくるのです。楽曲に沿って歌詞を別に書いているので、もし私が音楽なしに書いていたとすると、大抵それは詩になっているのだと思います。

書いているものを詩なのか、歌なのかを区別することができますか?

始めてしまえばそのような区別はありません。あるときただ何かを書いて、それらがただ歌詞になったり、詩になったり違ったフォームをとるのです。語られる言葉も好きなもののひとつで、親密さがあるので非常に面白いです。

文章作品には、決まった形式や方法を使っていますか?

形式やリズム、自由詩などを使うのも好きです。何かに限定しているわけではありません。制限が出てくる歌詞を除けば、決まった形式のものよる自由な詩の方が多いような気がします。

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Hello from the American desert

まだ詩集「アゲンスト・リフュージング」を読んでいないのですが、自由詩からなるのですよね?

はい、ほとんどそうですね。この作品はインターネットで受信した全てのスパムメールの言葉から始まる2つの小さな詩集です。文章ではなく単語だけで、数千もの言葉がありました。迷惑メール用のフィルターにかからないための彼らの手段だったのだと思いますが、2つ3つの単語が並んでいるだけのものもあり文書であって文章ではないような、まるで詩のようでした。こういったスパムを集めはじめ、それらから言葉を選び、詩を作り始めました。インターネットのメールからそれらを抜きだし、ほとんど自動的に書いていく作業は、まるでシュールレアリスト(超現実主義者)のようでした。その後、そこに自分の言葉で修正、追加をしていくことになります。「アゲンスト・リフュージング」ともう一つの作品「ハロー・フロム・ザ・アメリカン・デザート」は、こういった超現実主義的なモンタージュのような寄せ集めをもとにした詩が多くあります。それらは、自由詩と見つけた言葉たちです。

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