稲葉英樹
PEOPLEText: Naoko Fukushi
自由な発想と感覚で生み出す、美しいグラフィックデザインや、動的なエディトリアルデザイン、グラフィック的なフォント。そんなグラフィックデザイナー、稲葉英樹氏が今月のカバーデザインを手掛けてくれた。シフトとのコラボレーションプロジェクト「NEWLINE」では、広告のグラフィックやTシャツなどの制作、この夏にはその関連プロジェクトとして、札幌・東京で展覧会を開催予定。そんな彼の「今」を伺った。
まずはじめに、自己紹介をお願いします。
グラフィックデザイナー、東京在住。97年より「+81」を経て、SALマガジン、GAS、アトモスフィアや、WWD 2003S/Sなど、グラフィックとアートディレクションを行ってきました。
現在はどのような活動をしていますか?
SALマガジン11号と、そのウェブのディレクション、「AUDIOVISUALJAPAN」のデザインなどが終わって、アパレル、デパート、国立美術館のデザイン。それから、「NEWLINE」展の準備などを進行させています。
6月、7月には札幌と東京で展覧会を開かれるとのことですが、展覧会の内容はどのようなものになる予定ですか?
展覧会は「NEWLINE」でのコラボレーション企画となっていて、できればシリーズ化していこうと考えています。内容は、グラフィックのもつ自由さや軽さ「今こんな感じどう?」というような、即興に近い感じにしたいんです。会場では大判出力や、バーストヘルベチカ、「E2O」トマトジュース入りビール、Tシャツや小冊子の販売、BEAMS Tとのコラボレーションで、限定Tシャツの販売などを予定しています。
NEWLINEについて教えてください。
NEWLINEとは、1年程前からシフトとはじめたプロジェクトです。どこが、どれがNEWLINEなのかと聞かれるとちょっと困るような、実験的なプロジェクトで、商用などのはっきりとした目的があるというよりは、感覚の共有の場としてNEWLINEがあります。
これまで1年間に、毎月グラフィックあるいは、プロダクトをつくっていて、E2Oのトマトジュースプロジェクトもそのひとつです。この展覧会自体もそのひとつなのか?という具合で、わからない。そんな感じのものです。
稲葉さんのデザインは、NEWLINEをはじめ、とても絵的な感じがします。デザインのアイディアはどのように生まれるのでしょうか?インスピレーションの源があれば教えてください。
インスピレーションは、自分から外に見えている、ごく日常的なところにあるとしか…。デザインのアイディアもいつも適当で、偶然性が高いです。
アートワークやグラフィックデザインにおける、ポリシーは何ですか?
自分が思う、今という感じをグラフィックやディレクション、仕事で表現できればと思っています。
シフト17号でのインタビューで、当時の日本のグラフィック/エディトリアルデザインについて伺いましたが、その頃と現在を比べて何か思うところはありますか?
世界的に見ても日本の雑誌はハイクオリティになったと思います。グラフィックやビジュアル表現も独特だったり、開放的なものが増えてきたと感じます。一見出尽くしたように思われがちですが、実はこれからが楽しみなのではないでしょうか。
最近注目しているもの、凝っていることがあれば教えてください。
日本?
今回のカバーデザインのコンセプトを教えてください。
新フォントのバーストヘルベチカでタイポグラフィーをつくりました。このフォントはひとつひとつに動きが設定されています。
今後の予定、またはチャレンジしたいことがあれば教えてください。
もう次の展覧会の事を考えたいです。
最後に読者にメッセージをお願いします。
感じた事をやってください。
Text: Naoko Fukushi