「ベルリンの衝突:アートが世界を作る」
HAPPENINGText: Yoshito Maeoka
21カ国、約60人のベルリン在住のトップアーティストが一堂に会した展覧会「ANSTOSS BERLIN」(ベルリンの衝突)がハウス・アム・ヴァルドゼーで開催された。この美術館は、ベルリンの郊外にあたるダーレム地区に位置しており、1946年、つまり戦後ドイツの黎明期以来の現代美術館として、小さい会場ながらも精鋭たる展覧会を世に送り出している。
会場は閑静な住宅街の駅前の目抜き通りを少し歩いた所に位置しており、手入れの行き届いた生け垣に囲まれた美術館の前提に足を踏み入れると、あり得ない形で融合している二つのログハウスが目に入った。(フィア・レバンドウスキーの作品)この作品はまさしくこの展覧会のタイトル「ANSTOSS」つまり「衝突」そのものである。
Via Lewandowsky, Von Hinten, 2006
この言葉に象徴されるように、展覧会は比較的、絵画/彫刻という従来の枠から、それぞれの方向に一歩歩みを進めた結果、人々に「衝突」をもたらした作品がならぶ。言い換えてみれば、近年のベルリン発のアートシーンをにぎわした作家/作品が俯瞰できる様な構成となっていた。一方で「ANSTOSS」とは「キックオフ」の意味でもあり、会期中がワールドカップと重なっていた事も暗に指している。
さて、建物の中に入り受付でチケットを購入した直後、とっさにティノ・セーガル主導によるパフォーマンス、にまたもや「衝突」する。チケットを手渡してくれた係員が、その日の新聞の見出しをひとつ、唐突に読み上げる、熱心なアートファンにとってはおなじみのパフォーマンスだ。
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