クリスチャン・ボルタンスキー「移民」展
終わりのない廊下は、高い天井から吊るされた電球のわずかな光のみ。暗がりには霧が立ち込めている。その中を約500人の移民たちの声を聞きながら歩く。名前、年齢、職業、到着日など母国語で語る声。夢と寂しさを共有し合った何千万もの移民たちの亡霊の声。
暗がりに吊るされた古着のコート。蛍光灯で点され、ビニールシートで覆われた金属製ベッドが並ぶ部屋、背には上着が掛けられた木製の椅子が無造作に並ぶ部屋。移民の個の記憶と全体の記憶が、インスタレーションの各エレメントに喚起される。
他3ヶ所でも「プロジェクト・ボルタンスキー」の違うインスタレーションが公開されている。ボルヘスが館長を勤めた旧国立図書館では「フライングブック」と題した500冊の本が飛ぶインスタレーションが、テクノポリスでは個人の心臓音を収集するプロジェクトが、トレス・デ・フェブレロ大学ではボルタンスキーの数作品が展示されている。全会場12月16日まで開催。
Christian Boltanski’s Migrantes Exhibition
会期:2012年10月12日(金)〜12月16日(日)
時間:11:00〜20:00(土曜日15:30〜20:00、月曜日休館)
会場:Museo de Inmigrantes
住所:Av. Antártida Argentina 1355
TEL:+54 11 4317 0285
https://boltanskibsas.com.ar
Text: Mami Goda
Photos: Mami Goda
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