スタジオプレパ
PEOPLEText: Ayako Ishii
スタジオプレパの制作上の信条とは?
マスプロダクトの製造過程で切り捨てられる、あるいは表現されない「少しだけ気を使った」「ちょっとだけこだわった」ディテールの追究こそが小さな工房である自分たちの使命だと思っています。紙の上にデザインを起こしてから、納得のいく製品に仕上がるまで5年くらいかかることもあります。一生かけても足りないくらいの奥深さを秘めていると思います。
また、器は、内容物が入ったときのラインや、コースターやテーブルクロスへの反射などを想定して、単体では少し足りないと思えるくらいの完成度に仕上げています。
制作環境について教えてください。
長野の山奥に小さな工房を構えています。工房内は非常に高温になるので、標高700メートルくらいの冷涼な土地を選びました。それでも6月のこの時期で40℃を超えます。周辺は風光明媚な果樹生産地で、ノーヘルメットで鎌作業をしていたり、リンゴの収穫のため車の屋根を切ってあったりと、住民はたくましい人たちばかりです。彼らと一緒に植林をしたり、慰労会でやかん酒を囲んだりと、人間力が鍛えられる場所でもあります。
製品はどこで購入できますか?
札幌と東京のメトロクス店舗では、食器ラインのほか、オリジナルランプシリーズの新作が揃っています。「ランドスケーププロダクツ」、「かぐれ」でも製品の取り扱いがあるほか、「シンプリシティ」ではオリジナル製品の製作を担当しています。ショップやメーカー、デザイナーの皆さんとの出会いやコミュニケーションを通じて生まれた製品たちを楽しんでもらえればと思います。
進行中のプロジェクトについて教えてください。
メトロクスが出展するパリの国際インテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出品します。フランスではまた、3つ星シェフ、アラン・デュカス氏が、店舗および自宅用にプレパが制作した「シンプリシティ」のオリジナルランプを購入しています。ランドスケーププロダクツの出展する「ニューヨーク・インターナショナル・ギフト・フェア」にもアイテムを出品します。国内では今年8月に岩手の「Holtz 」、9月に目黒、自由学園の「フォー・ストッキスト・展覧会」に向けて準備を進めています。
読者に一言お願いします。
今回の展示会には、吹きガラスの高梨良子さんと切子ガラスの吉田順子さんも参加しています。ガラスという共通の素材を使いながら、技法や大事にしていることなど様々です。この機会に是非手に取って見比べてみてください。
札幌は20年前に訪れて以来です。地下鉄にタイヤがついていたり、道路幅が広かったり、見たことがない規格の車庫とかいろんな発見があって楽しい街です。滞在中は、切符を裏返しにすると改札を通らないといったハプニングにも見舞われつつ、地下鉄でいろんなところへ足を運びました。昼食は六花亭円山店喫茶室でとりました。北海道ならではの工具などを覗きにホームセンターにも寄ってみたいですね。
スタジオプレパ「使う 飾る ガラスの器」展
会期:2011年6月24日(金)~7月6日(水)
時間:11:00~19:30
会場:メトロクス札幌
住所:札幌市中央区大通西26丁目1-18 円山アーク1F
TEL:011-615-8777
https://metrocssapporo.jp
Text: Ayako Ishii
