王冬青(ゲイリー・ウォン)
PEOPLEText: Hiromi Nomoto
古き良き上海の雰囲気が残る通りに、スタイリッシュなショップ「宗祠KIN」がある。通りに面した部分はガラス張りになっており、道行く人はスニーカーやグッズが一つ一つ作品の様に置かれた店内を伺うことができる。店の奥にはガラスの天井から光の降り注ぐカフェがあり、広々として心地良い空間が広がる。そんなショップを立ち上げたのは、東京に6年間住みDJを学んだ後、上海をベースに活躍するDJのゲイリー・ウォン(王冬青)だ。上海では、宗祠KINのほか、クラブ「ザ・シェルター」も経営する。
なぜ、宗祠KINを始められたのですか?そのきっかけを教えてください。
やはり、きっかけは、ずっとやりたかったということですね。レコード屋と服屋とスタジオの3階建てのこういう店を持ちたいという考えがありました。2009年の夏に、ロンドンに住んでいる友達でありパートナーと一緒にやろうかと言う話を、ニューヨークから来たデザイナーの友達に話したら、その人も興味があって、じゃあ皆で一緒にやろうということになり会社を設立しました。場所は半年くらいかけてやっと見つかりました。コンセプトは、みんなが集まる場所をつくるということ。もし服屋だけだとしたら、座るところも無いし、みんなが集まれないじゃないですか。だからカフェと一緒にやった方が良いのではないかなと、そういうきっかけで始めました。
ここの場所を選んだのはなぜですか?
離れた場所が好きだから。商店街のような個性のある場所が好きです。実は、これはマーケティング的には合っていない。また准海路の北側にある長楽路に行くと、とても高くなるのですよ。長楽路付近ではいい値段で借りれるし、しかも完璧な場所です。私たちのコンセプトと合っているのです。こういう物件はあまり上海にはありません。屋外の感じで、でも夏と冬は結構気持ちいいですよ。
ここに来るお客さんはどういう人が多いですか?
来て欲しいのはクリエイティブな感じの人。(来客は)外国人が多いですね。外国人は、来店してすぐに気に入ったとみんな言ってくれます。なので、中国人はもちろん来て欲しいのですが、まだそこまで分かってない気がします。入って来たら、靴も売っているし、コーヒー屋もあるので、ちょっと訳が分からない店だと思うのかもしれません。
ここは空間が贅沢に使われていますね。
中国は何にでもデザインしなきゃいけないというような風潮になってますが、なるべくシンプルにやってます。しかも、このテーブルは実はリユースなんです。これは80年前の上海の木造の船をリユースしています。使う程に味が出てきます。
こちらではDJのスクールもあるそうですが。
上にあります。昔はザ・ラボというのが膠州路にありました。スクールというか、無料でやっています。一応それもコミュニティーの様な感じでやっていこうかなと思ってます。すでに5年くらい経ちました。
それは中国人が多いですか?
ほとんど中国人です。ですが全体の人数はまだ多くないです。アメリカだったらもしかするともっと多く集まるかもしれませんね。無料ですし。こちらにはまだやりたい人が余り居ないのでしょうね。クラブに行って、DJやってる人を見たら、ああカッコいいなあと思います。そういう人は多い。でも実際に自分で試してみたら、やはり練習など時間がかかるし、そこまでしてやりたくないのでしょうね。
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