梅田宏明

PEOPLEText: Mariko Takei

ご自身の作品を「ビジュアル・パフォーマンス」と定義されているそうですが、照明や音、映像なども舞台の重要な要素として手掛けられています。とくに、光については、舞台を見せるための照明に限らず、多様性のあるデザインがされていますが、基本としているコンセプトや考えがあれば教えてください。

もともと、舞台をほとんど観たことがなかったうえに、写真表現に向いていたこともあり、僕の作品は、ビジュアル表現の影響が強いように思います。写真を撮っていたときに「こういう目の使い方をすると、世界はこういうふうに見えるんだ」と感じた体験がいくつかあり、それがいまでも、作品に影響しています。また、「ビジュアルとして踊りを見せよう」という発想も強いですね。だから、作品を制作するときは、一人のお客さんとして客観的に舞台を想像していますね。

光・音・身体が等価に扱われている印象があるのですが、作品を制作するときは、どのような手順で構想がされているのでしょうか?

僕の場合は、抽象的な空間のイメージがあって、それが作品の「スコア」になります。音や光、振付のうち、どれが先というわけではなく、自分のもつ抽象的な空間のイメージにあわせて、全てを構成していきます。このイメージだったら、この音、光、踊りで……というように。最後が決まらないと最初も決まらないというくらい、全体をすごく俯瞰して考えています。

それと、僕のダンスの場合は、踊りの「質感」を振付けています。ダンスの形ではありません。だから、上演のたびに踊りも変化しています。もしかすると、お客さんによっては、同じに見えるかもしれませんが、僕自身にとってはいつも違うのです。

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「Accumulated Layout」振付/出演:梅田宏明(2007)Photo: Shin Yamagata

海外でも積極的に巡演されていますが、国外での発表のきっかけは、何だったのでしょうか?また、海外での作品の評価について、ご自身では、どのように感じていますか?

2002年に、「while going to a condition」を初めて海外で上演しました。フランスのフェスティバル「ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル」のディレクターによって、実現したのですが、それ以降、海外での公演を続けています。最初は、自分が海外で公演するなんて、考えてもみませんでした。これは世代的なものかもしれませんが、海外に対する劣等感をあまり感じない気軽な感覚が、海外で上演する際に、非常に助けになりましたね。

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「while going to a condition」(2002)Photo: Shin Yamagata

僕の作品を海外で上演してくれる理由を考えてみた時に、まず身軽で、ツアーしやすいことがあると思います。もうひとつは、すごく日本的だと言われますね。ミニマルで、ちょっと“テクノロジーっぽい”ところなんでしょうか。ダンス作品というよりは、インスタレーションだったり、ビジュアルアートに近いと、よく言われますね。

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