NIKE 公式オンラインストア

珍しいキノコ舞踊団

PEOPLEText: Mariko Takei, Fumi Hirota


YCAMでの制作風景

作品をつくるうえで何か強く影響を受けているコトやモノがありましたら教えて下さい。

昔は、影響を受けるために自分でどこかに出かけたり、何かを見たり、勉強したりしてたんですが、いまはその逆で「作品を作るために何かをしよう」とか、探すとか、そういうのはしないようにしてるんです。作品をつくるために何かする、ということをやめてみると、普段の生活のなかで自分の考えていることや悩みっていうのを自覚して、それが作品をつくるときのテーマになります。これは、みなさんも同じだと思うのですが、買い物したり、テレビを見たり、そういう普段の生活のなかで、自分の先にある生活を想像したり、いろんなことを考えてる。そうした自分の考え方や想いは、生活の中で蓄積するんですよね。そういうのが積もって、作品をつくるときに出てきている感じです。だから最近では、作品のテーマは、日常の中から生まれていると言えますね。実際の作品の見え方に関わる美術や衣装などのビジュアルについても、映画を見たり、テレビや雑誌を眺めたりするなかで「おもしろい」と思っているもの。それが、蓄積されて作品につながっています。テーマにしても、ビジュアルにしても、作品を前にして、考えて考えて浮かぶというよりも、自然と浮かび上がるものだと思っています。最近は、常に作品をつくり続けていることも、こういうことに影響していますね。昔は、「美術館に行こう!」とか「ギャラリーに行こう!」とか意気込んでいましたが、今は見たいから行く。それだけです。見たくないのに行くとか、影響を受けようとか、そういう風にはもう思いませんね。


YCAMでの制作風景

今回の新作「ザ・レイニィ・テーブル」の見どころや、新たに挑戦していることがありましたら教えてください。

これまでの「珍しいキノコ舞踊団」の作品では、ダンサーの個性がバラバラにあって、みんなが主役として踊って、舞台をつくるということがひとつの特徴でした。今回は、そのバラバラの個性を、作品の中でひとつに揃える構成になっています。少し具体的に言うと、舞台には、主役となる人が一人いて、それを順番に踊るんです。そして、最後は全員同じ服を着て、ステージで踊ることになります。同じ衣装をきて踊る、というのは結成当初以来ですね。今後もしばらくないと思うので、見どころです。そして、今回の作品には、ストーリーがあります。彩の国さいたま芸術劇場で、近藤良平さん(コンドルズ)とやった『日本昔ばなしのダンス』での「へっこきよめ」以来です。これは、20分くらいの短いものだし、全然タイプも違うのですが、ストーリーがある作品は、珍しいキノコ舞踊団にはあまりないんですよね。今回は、「ザ・レイニィ・テーブル」というテーマのなかで、ストーリーを構成して、踊っています。

YCAMでの滞在制作、なにか印象に残っていることはありますか?

山口に到着したその日に、YCAMのみなさんと大ふぐパーティーをしました。生まれて初めて、「てっちり」と「ふぐのからあげ」を食べましたね。ふぐ刺しはこれまでにも食べたことはあったけど、あんなに肉厚なのは初めてでした。ふぐのおいしさがようやくわかりましたね。山口も、ふぐも、その良さを堪能しました。

珍しいキノコ舞踊団 × plaplax 「The Rainy Table」
日時:2009年2月28日(土)19:00〜/3月1日(日)14:00〜(30分前開場)
料金:前売 2,500円/当日 2,800円 全席自由(整理番号付)
会場:山口情報芸術センター [YCAM]
住所:山口県山口市中園町7-7
振付・構成・演出:伊藤千枝(珍しいキノコ舞踊団)
舞台美術・映像演出・メディアテクノロジー:plaplax(近森 基+久納鏡子+筧 康明)
音楽:大野由美子(Buffalo Daughter)
衣装:AOMI
出演:井出雅子 山田郷美 篠崎芽美 茶木真由美 中川麻央 伊藤千枝
TEL:083-901-2222
https://www.ycam.jp

Text: Mariko Takei, Fumi Hirota

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE