フセイン・チャラヤン展「フロム・ファッション・アンド・バック」
HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa
リゾートの夜のおしゃれにぴったりといった感じの、首元にたっぷりとしたフリルをあしらったドレスを着たマネキンが一体、ブランコに乗っている。手には小さなデミタスカップを持って、すっかりリラックス気分のようだ。そのドレスの繊細かつデコラティブなカットに目をやると、その生地と言わず、その部屋の壁紙と言わず、全て同じ一続きのプリントでできていることに気が付く。
海を背景に、パームヤシが茂るカラフルなプリント地は、さらによく見るとチャラヤンの故郷、キプロスのニコシアの名前が入っている。さらには古代のローマ兵のような格好の兵士たちが剣を交えていたり、狩猟農耕民族が狩りをしていたり、かと思えばリゾートホテルが立ち並び飛行機が飛んでいたりと、時代と空間がごちゃごちゃにミックスされた世界なのである。エスプレッソを片手に、そんな考古学的、地理的空間へと空想の旅に出るのも興味深い。
展覧会の終わりの方で、2007年春夏のキャットウォークが上映されている。
「ワンハンドレットイレブン」という名前の通り、過去111年間におけるファッションの移り変わりをテーマにした、記憶に新しいセンセーショナルなコレクションだ。キャットウォークの途中で立ち止まるモデルのドレスが一人でに動いて、スリーブが膨らみ、スカートにギャザーがより、帽子が形を変える。ひとつのドレスが、目の前で時代を超えて次のスタイルへ変貌する様に、ビデオの中でも外でも観客は惜しみない拍手を送っていた。
フセイン・チャラヤン展「From Fashion and back」
会期:2009年1月22日(木)〜5月17日(日)
時間:10:00〜17:45
会場:デザイン・ミュージアム
住所:28 Shad Thames London, SE1 2YD
料金:一般 7GBP、学生 4GBP
https://www.designmuseum.org
Text: Sayaka Hirakawa
Photos: Sayaka Hirakawa
