ロンドン・デザイン・フェスティバル 2008

HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa

デザインフェスティバルには、展覧会やイベントだけでなく、インテリアショップやカフェも参加している。ひとつ気になって出かけたのは、スピタルフィールズマーケットから移転し、ブリックレーンの北の端、レッドチャーチストリートにニューショップをオープンした「キャラバン」。

ロンドン・デザイン・フェスティバル 2008

アンティークの家具や陶器、フェザーを使ったオーナメントやパラシュートの生地を使ったスカートなど、セレクトの妙が光るインテリアとファッションのお店である。「フラワーパワー」と名打ったコレクションの中身は、パリのアーティスト、ナタリーレテによるフラワーパターンのラグ、デボラボウネスのウォールペーパー、アンティークの花柄ファブリックを使ったトルソーなどなど。なかでも、金属でできた一輪のバラのブーケは、かわいらしさとクールさを併せ持った冬のインテリアとしておすすめだ。

ロンドン・デザイン・フェスティバル 2008

第二回目を向かえる「テント・ロンドン」は、中規模ながらアップカミングなデザインショウとして注目されている。ブリックレーンの途中にある旧ビール工場、トルーマン・ブリュワリーがその会場である。CIRCAと呼ばれるエリアには、ヴィンテージ家具のトレーダーが軒を構える。時代を代表するバブルチェアや、イームズといったマスターピース、そしてそれに似合う渋めの小物たちは、その年代の人ならむしろノスタルジーを感じてしまうかもしれない。

ロンドン・デザイン・フェスティバル 2008

それに続くCONTENTエリアには、打って変わってインディペンデント作家たちの、最新のデザインが待っている。ここで気に入ったのは韓国出身のデザイナー、イ・ジャンソブの作品。和紙と木材を使った、シンプルなスクエアの照明。スイッチを入れるとそこに地図が浮かび上がる。それぞれ、モスコ、ローマ、ソウル、パリ。どの場所もデザイナーが実際に行ったことのある場所というのだから、思い入れも深いのだろう。彼の相棒ソン・ボンキュの作品もまた面白い。ビニールのパックの中に細い電光管が弧を描いている。『照明機器を買うと、必ず包装がついてくる。だから最初からバッグに入った状態のライトを作ったんだ。』と彼はいう。一つでも、展示のようにいくつもつないでパテーションとして使用しても、と考えるのすら楽しくなるアイテムだ。

テントを出ると、夜が始まっていた。驚きや、懐かしさや、感動をたっぷり味わったせいで、いい映画を一本見たような充実した気持ちになっていた。同じ気持ちを抱える新たな作家たちがきっと、帰り道々すでに来年の展望を考え始めていることだろう。

London Design Festival 2008
会期:2008年9月13日(土)〜23日(火)
会場:ロンドン市内各所
https://www.londondesignfestival.com

Text: Sayaka Hirakawa
Photos: Sayaka Hirakawa

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