カンヌを席巻したソーシャル広告

HAPPENINGText: YOSH

グリーンズ」がお届けするグリーン・デザイン・コラム。今回は6月にフィナーレを迎えた世界最大の広告の祭典、カンヌ国際広告祭から「これはやられた!」と感じる世界のソーシャル広告を取り上げてみます。

まず、「ソーシャル」な広告って何でしょう? 大ざっぱに言えば、グリーンピースや「WWF」など、社会問題の解決のために活動している団体をサポートする広告のことです。海外には「Osocio」のようなソーシャル広告専門のブログもありますが、そこに書かれている「It’s the place where marketing and activism collide.」(マーケティングとアクティビズムがぶつかるところ)という表現はまさにぴったりですね。力強いメッセージをダイレクトに伝えるクリエイティブな手法に唸らされます。

グリーンズに参加してくれているエコブロガーの一人「ecogroove」の丸原さんは、まさにそんなソーシャル広告の事例を記事にしてくれています。
実は彼自身が、某広告代理店に勤める現役のコピーライター。しかも日々の仕事のかたわら、フェアトレードチョコを推進する「チョコレボ」や、温暖化防止のためのキャンペーン「MAKE the RULE」など、ソーシャルキャンペーンに積極的に参加している方です。その丸原さんが今年のカンヌ広告祭の解説記事を書いてくれたので、その中から目に付いた事例をご紹介します。

まず、消費者に直接的な行動を促すキャンペーンの部門「ダイレクト・ライオン」のゴールドを獲得したのが「BLACK BOY RUNNING WATER」。上のYouTubeをみると、様々なテレビ番組に突然黒人少年が乱入し、コップに入った水を飲み干していきます。これは、きれいな水を飲めない世界中の子どもたちにフォーカスしたドキュメンタリー「Dirty Water」を告知するキャンペーンで、あまりの衝撃に口コミによって多くの寄付に結びついたようです。

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シルバーを受賞したインドの広告「HELP ME READ THIS」は、路上でのゲリラキャンペーン。信号待ちの車にストリートチルドレンが新聞を売りにくるのではなく、その内容を「読ませてくれ!」と迫ってくるという作品です。これは、子どもたちの識字率の向上を目指したキャンペーンで、日常の中で当たり前になった光景に不意打ちを与えてくれます。こちらも寄付やボランティアの参加につながるなど大きな成功を収めたようです。

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また、日本から出品された作品も健闘しています。販売促進についての部門「プロモ・ライオン」でゴールドを獲得したのが、日本野鳥の会の「VOICE OF ENDANGERED BIRDS」。残しておきたい野鳥の声をミックスして収録したレコードを実際につくって販売し、DJや音楽好きの若者にアピールした企画で、今把握できている個体数の枚数だけ発売されるというストーリーも言うことなし。コウノトリは108匹、シマオアジは20匹という衝撃の数字を、どうしても人に伝えたくなる仕掛けが巧みです。

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