アグネスホテル・アートフェア 2008
また、地下に展開していた出展ギャラリー最若のギャラリスト・八木沢俊樹によるギャラリー・カウンタックでは、ウェットでもドライでもない、若手作家の微妙な時代のトーンが印象的だった。どこもギャラリストとの距離は近く、ギャラリーの温度を直に感じられる貴重な機会だった。
もっとも爆発していたのはマジカル・アートルームだろう。ホテル・マジカルという架空のホテルの工事現場は、洗面台からベッドルーム、床から天井まで、イマジネーションがミニマムな部屋を侵食していく。
その後も山本現代、小山登美夫ギャラリー、スカイ・ザ・バスハウスやナンズカ・アンダーグラウンドなどなど、東京を圧縮したような展示を次から次へと目撃する。そうやって今のアートシーンの輪郭がぼんやりと見えてくる。
穏やかなホテルにあって、あまりに異質な空間が廊下ひとつでつながっているのは本当に不思議な光景だ。一部屋一部屋の往来は、まるで異なる次元へのワープするかのよう。次は何が飛び出すのかソワソワする一味違うアートフェア、年初の恒例イベントとして今後も見逃せないだろう。
ART@AGNES アグネスホテル・アートフェア 2008
会期:2008年1月11日(金)~13日(日)
会場:アグネスホテル アンド アパートメンツ 東京
住所:東京都新宿区神楽坂2-20-1
https://www.artatagnes.com
Text: Yoshihiro Kanematsu
Photos: Yoshihiro Kanematsu

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