田名網敬一

PEOPLEText: Yurie Hatano

60年代からデザイナーとしてのキャリアをスタートし、00年代の現在も第一線で活躍し続ける日本グラフィック界のスーパースター、田名網敬一のインタビュー。

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まずはじめに、自己紹介をお願いします。

1936年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒業後、博報堂に勤めたが、1年で退社。その後、アニメーションや絵画、イラストレーション、エディトリアル・デザインなど、前衛的で遊びに満ちた様々な創作活動を行う。デザインと並行して、映像による実験を試み続け、オーバーハウゼン、エディンバラなど世界各地の映画祭で上映された。81年に胸膜炎で3ヶ月入院。幻覚の<松>にうなされる。退院後、異形の松や鶴、象など、多くのアジア的な形象の引用を表現方法に取り入れ、記憶や夢の世界を絵画、映像、版画で表す。
現在、京都造形芸術大学情報デザイン学科教授。

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最近の主な活動について教えてください。

・イギリスの雑誌「Wallpaper」でファッションデザイナー6人(GUCCI、MUMUなどとのコラボレーション)とのアートワークを担当。
・イギリスのロックバンド「Super Furry Animals “Hey Venus!”」(Rough Trade Records)のジャケットデザインを担当。
・ドイツで発行されるアート誌「jpeople」のカバー・アートワークと本文での特集+インタビュー。
・今春イギリスのBBC放送が放映する「Japanorama」シリーズに出演。
・イギリスのPhaidon社が発行する「Area.2 世界100人のデザイナー」の選考委員を依頼される。
・4月発売予定の「ガンズフェルド」誌(アメリカ)で作品+インタビューの特集。
・トニー・アウスラー、ウォーホル、メープルソープなどが出品している「ROCK’N’ROLL」展に出品。(Norrkkoping美術館・スェーデン)
・ノルウェーのオスロでファッション・音楽などカルチャー系雑誌の仕事で活躍するアーティスト(リチャード・プリンス、ウォーホルなど)1一人の「PALP 11」展に新作5点出品。

海外の仕事が増えてしまって、日本の仕事がなかなか進みません。今年の4月から放映予定のNHKのコマーシャルをアニメーション(30秒)で制作しました。また、アニメーション作家の相原信洋君との共作で「一寸法師」を制作中です。(5月にイメージフォーラムフェスティバルで上映予定)

最新の作品集「LAYERS OF KEIICHI TANAAMI」(青幻舎)が発売されている。

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田名網先生にとっての60年代とは?

ぼくの紆余曲折しながら歩んできた道程を振り返ると、60年代という特別な時代が遥か彼方でいまも鋭い光を放っているのがよく分かる。イラストレーションもグラフィック・デザインもエディトリアル・デザインもアニメーションも実験映画もペインティングも版画も立体もその全てが60年代に生みおとされ熟成されたものといってよい。ぼく自身、あるゆる面で幼く未熟だったが、突進することだけが取り柄だった。そして、時代の熱気に背中を押されながら、全力で走り続けた、そんな時代だった。

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