スタピン
PLACEText: Juliet Fang
アーティストのための無料サービス「STUPIN(スタピン)」が誕生した。「スタピン」とはスタジオとピン(友達)を合わせた新しい言葉である。アーティストが何かを作り出すのにもちろんスタジオが必要であるが、もしアーティスト達がその作業場を他の場所に移したいと思った時はどうすればよいのか。アーティスト・イン・レジデンスの申込以外にも、今私たちには新しい選択肢がある。
STUPIN STUDIO © STUPIN
「スタピン」はスタジオの情報を投稿したり、他のアーティストと交流したり、異なる文化や人生を体験するためのサイトだ。たとえば、スタピンに登録し、メンバーになると、好きなスタジオを検索したりメッセージで詳細について問い合わせることができる。また、スタジオの交換やフレンド(ピン)の申請もでき、引っ越しがもっと楽になる。
STUPIN STUDIO © STUPIN
なぜ私はスタピンプロジェクトにとても魅了されているのか。私は数年前、別のアーティストレジデンスに暮らしていた。もちろん他のアーティストから何かを学ぶこともできるが、ほとんど自分の仕事に専念するために、一人でいることを好んでいた。アーティストの住宅費が毎年高くなっていることは言うまでもないが、その費用を払うことも容易いことではない。他に煩わしいのは、少なくとも6ヶ月前までに居住申請をしなければならないということだ。つまり、今すぐに引越したいと思っても、長い間待たなければならないのである。
STUPIN Exhibition view © STUPIN
ところが、スタピンはアーティストに別の選択肢を提供している。まずはじめに、アーティストは互いにスタジオを無料で交換することができる。第二に、時間がより柔軟になる。短期的、長期的に自由に予定を管理でき、時間効率を高めることができる。第三に、その地域の住民の一人として、地元の生活を経験したり、その地域を旅することができる。最後に、私の好きなポイントはスタピンのフレンドを検索できる「ピン」機能だ。そこでできる友達は私たちが様々な街を知れるよう案内してくれる。
全てはアーティストが使うために、そしてアーティストのニーズを大切にしている。私は言葉にできないほどこのアイディアを気に入っている。
そこで、スタピンの創設者クオ・イーチェンにインタビューをした。
Founder of STUPIN, Kuo I-Chen & Filipe Cortez © STUPIN
なぜアーティストのためのプラットフォームを創設したいと考えたのですか?
私は何年も芸術に従事してきました。2012年の私の最初の住居では、多様な文化と環境が私を刺激し、新しいインスピレーションとエネルギーをもたらしました。そこで私は居住の経験がどれほどアーティストに影響を与え、そこから恩恵を受けることができるのかということに気づきました。それと同時に、私はそこにニーズがあること、そして問題は契約ができるまで待たなければならないことと、スムーズに進まないことがあることであると気がつきました。もし居住中にスタジオを貸し出す契約ができない場合、その先そのスタジオは空きのままであり、家賃を支払い続けなければならないことを意味します。さらに、現地の環境をよく知らない場合は、その土地にあった生活をすることはなかなか難しいでしょう。
そこで私は「空間」と「人」のリソースを統合して共有できるネットワークプラットフォームを開始しました。これは同時に、アーティストの居住手続きに対する敷居を下げ、面倒な作業も減らすことができます。スタピンのコンセプトはこれらの状況の緩和からきているのです。
スタピンでは、どんなことがもっとできると期待していますか?
もっと多くのアーティストがこのメンバーの一員となり、お互いの場所や情報を共有し、助け合いあってほしい。しかし、何もかも他の人に頼りきるという訳ではありません。私たちには自分でできることがあるのです。たとえば、他の国に移動したいのならスタジオを共有、交換すればいい。そしてアーティストインレジデンスに申し込まなくても新しい作品を作ることができます。私たちの提供するサイトであなたは好きな場所で新しい友達や有名アーティストを知ることができます。プロジェクトに協力したり、何かを創り出すことだってできます。これらの全てがスタピンでできてしまいます。なぜならスタピンはその様なアーティストのために造られたプラットフォームだからです。その為に私たちはどんな可能性も受け入れます。
Text: Juliet Fang
Translation: Satsuki Miyanoshi, Kabuto Fujita
Photos: © STUPIN