ヘクター・アユソ
アートが現代ほど商用利用されることはかつてなかったかと思いますが、例えばアブソルート・ウォッカ、ノキアなど、ブランドから出る大きな営利的な出資金は肯定的に捉えますか?
もちろんです。現在の生活がどのように成り立つか理解するための大きな1歩です。例えばBMWがジョシュア・デイビスに最新車のアートワークを生み出す依頼をするのは、とても大事な事ですよ。こういうことが、僕たちが働ける本格的なマーケットを築いています。ビットフォームズなどのいくつかのギャラリーも同じようにいい仕事をしています。
僕の家はテクノロジーと共にどんどん溢れかえっていきます(笑)。LCDやプラズマのテクノロジーはもっと手頃になるべきで、ケイシー・リースの作品はリビングルームやベッドルームに掛けることができるのです。
オープン・ソース・アプローチは知識社会へのステップと考えられますか?
ケイシー・リースとベン・フライによる「プロセッシング」のようなプロジェクトは知識社会へのステップと言えると思います。ただとても民主的ですが、一般化するべきとは思いませんが…。
フォルカート・ゴーターは人類の進化におけるコミュニケーションの影響について話しましたが、私達は早く進み過ぎではないですか?
もしかしたら進み過ぎかもしれませんし、もしくはとても早く進むことを強いられてるとも言えますし、そして僕は時々目眩がすることを認めなければいけません。でも同時にそれは、僕たちがまだ知らない何か新しい事の一部です。いずれにしても、このスピードがそこまで長く進み続けるとは思わないですが。
デジタル・アイデンティティが人間関係を退化させると思いますか?
全く思いません。これはただ常識の質問であると思います。その限界について知るべきで、結局のところ、これは人と連絡をとったり出会ったりするいくつかの方法のうちの一つに過ぎないと認識すべきです。
僕はこれまでとてもシャイでしたが、ネットが変えてくれました。第1回OFFF開催時には、人と話すことに少し問題がありましたが、今では一番の楽しみの一つになっています。それから、ネットを通して妻と出会えたこともとても誇りに思っています。
デジタル社会の自己批判的なビジョンとその影響について話す、哲学者や社会学者によるディベートの開催は考えたことがありますか?それだとフェスティバルの精神から離れ過ぎてしまうでしょうか?
そういうコンテンツはすでに他のイベントが提供していると思いますし、僕たちのプログラムには適切ではないと思います。
2010年のOFFFはどのようになると思いますか?
10周年を観客と一緒に祝う事ができたらいいなと思います。そして可能であれば、過去のOFFFに参加した全てのアーティストも一緒に。借金することなくね(笑)!
5年前は今をどのように想像していましたか?
正直、5年前はこんな質問に答える事になるなんて想像していませんでした。
OFFFのスタートメンバー、現在のメンバーはそれぞれ何人ですか?
2001年にOFFFを手掛けていたのは4人。現在は約10人のメンバーと、何人かのコラボレーター達がいます。
この先、ジョン前田が登場する可能性はありますか?
そう願ってます。彼に登場してもらえるよう接触しています。昨年は数年越しの依頼の末、中村勇吾についに参加してもらえました。ジョン前田もまもなくOFFFに現れてくれると信じています。
他には?
ステファン・サグマイスター!!(来年、この任務は果たされます)
次の質問は、、何か秘密はありますか?
2007年のOFFFは、異なる3構成になる予定です。
人生に影響を与えた映画は何ですか?
レオス・カラックスの「汚れた血」と、ジャン・ユスターシュの「ママと娼婦」です。一つを選ぶのは難しい…。
ありがとうございました!他に言いたい事はありますか?
インタビューしてくれてありがとう、楽しかったです!
Text: Eduard Prats Molner
Photos: Yurie Hatano