DING DONG!(ディンドン)アート・フェスティバル 2006

HAPPENINGText: Ayako Yamamoto

ドイツはハンブルグ、アルトナ駅。やたらと道幅の広い歩行者天国を歩いて行くと、1970年代に建てられたという、巨大な空きビルに出くわす。店舗のひとつであった、ドイツ全国に支店を持つ百貨店のカールシュタットも2年ほど前に閉店し、その看板の跡がまだなまなましい。しかし、道行く人が足をとめ、その中へと吸い込まれていく。そう、ここが「DING DONG!(ディンドン)アート・フェスティバル 2006」の会場だ。

入り口にはクローゼットがぽつんと置いてあるだけだ。そこから中の様子は見ることができない。受付嬢に促され、その扉をあける。おとぎ話の主人公のようにクローゼットの中をくぐりぬける。

すると、カールステン・ボットの世界が広がっていた。床には、彼の蒐集した年代もののおもちゃや人形、雑誌、ランプ、瓶、タイプライターなどありとあらゆるものが所狭しと散らばっている。


Karsten Bott

クローゼットの扉からノスタルジックなこの空間に入り込んだ瞬間に、外の世界と遮断され、時間の流れがよくわからなくなってくる。足下のものに目を奪われながら進み、次に広がった空間を目の当たりにすると、来場者はわくわくとするに違いない。3000平方メートルという大きな空間に、参加アーティストによるインスタレーションが立ち並んでいるのだ。

今回のこのアートフェスティバルには、ドイツ、アメリカ、イギリス、カナダ、日本など世界各国から選ばれた30数名のアーティストたちが参加している。アーティストたちは期間中に滞在制作を行い、最終日までにどんどんと作品が完成していくというもの。パフォーマンス、ワークショップなども行われた。アーティスト村というコンセプトの通り、おとぎの国を探検するように、ひとつひとつの作品を見ていくことができる。

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