デザインエッジ・カンファレンス 2005

HAPPENINGText: Yoshihiro Kanematsu

すっかりクリスマスムードの11月10日から12日にかけて、シンガポールで、デザインエッジ・カンファレンス 2005が開催された。このイベントはシンガポールが国を挙げて主催するシンガポール・デザイン・フェスティバルのキックオフとして、香港のデザイン雑誌IdNがプロデュース/キュレーションを担当、デルタ、モ’ワックス、ロースターなどストリートシーンのヒーローがこぞって登場した。さらに日本から倉石一樹や、デビルロボッツ、デジタルフィルムシーンからUVAとDフューズ、そして大御所デザイナーズ・リパブリックまでもが一同に集結し、赤道に程近いアジアの南国は一段と熱気で溢れかえっていた。

「アジアにおけるデザイン創造力の発信拠点にしよう」と、本気でデザインを国家戦略に据えているシンガポール。11月9日から23日まで続いたシンガポール・デザイン・フェスティバルは、そんなアジアを代表するビジネス都市で満を持して開催される、規模の大きなデザインイベントだ。

期間中はデザインエッジのほか、アジアにおける広告やブランド戦略に関する国際会議、アド・アジア 2005、クリエイティブ業界の新たなリーダーを巡るサミット、ビヨンド 2005など、カルチャーからビジネス、アカデミックなシーンまで多様な交流が盛り込まれている。ずらりとラインナップされた世界中からの豪華なゲスト陣を見ても、リッチな政府の本腰の入れようが伺える。

デザインエッジの会場となったサンテック国際会議場、既にロビーでは期待感でそわそわしきりの若い面々でごった返す。開場して瞬く間に満員御礼となったオーディエンスを前に、シンガポール・デザイン・カウンシルの会長とIdN社長のローレンスによる挨拶が行われた。『今回招いたゲストたちの反抗、彼らの新しい視点はいまやクリエイティブカルチャーの主要な部分を担っている。このカンファレンスはその革命がどのように起こったかを指し示すことになるだろう。』と彼らがいうときに、『今もっとも尖がったデザイン』とはいったい何なのか、そこに至るまでにどのようなプロセスがあったのか、そんなことを巡るはずの熱い3日間がいよいよ幕を開けた。

トップバッターは、デルタモード2!ライムを生み出すリズミカルなしゃべりのモード2は、普段の何気ない光景、ありがちなコンポジションを極端にトレースするかっこよさをまざまざと見せつけ、デルタは歴代のピースだけでなくキース・ヘリングやゼファーのタグが描かれた80年代のスケッチブックを披露してくれた。

最後にデルタ自身が “バフ”(=グラフィティを消す)するという最近のプロジェクトでは、デルタによる白と黒の都市的なピースの上に、市民は誰でも赤いスプレーでボムすることができ、その上に再びデルタが重ねると、しばらくしてまた誰かが赤くボムしていくということが繰り返される。そのリーガルウォールを舞台にした楽しげないたちごっこは、グラフィティの表現がコミュニケーションのプラットフォームになっているようで、とても爽快だった。

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