ダキス・ヨアヌー・コレクション展「トランスレーション」
HAPPENINGText: Vincent Vella
パリにある現代アートセンター、パレ・ド・トーキョーは、2002年のオープン以来、コンテンポラリーカルチャーの最先端にて飛躍的に成長を遂げ、今や全てのアートを愛する者達やファッションジャンキー達にとって、はずせない場所になっている。
この夏、パレ・ド・トーキョーは、グラフィックデザイナー、M/M(ミカエル・アムザラムとマティアス・オグスティニアックをセレクターに招き、ギリシャのコレクター、ダキス・ヨアヌーのコレクションを展示する「トランスレーション」展を行った。
ヴァネッサ・ビークロフト、マウリツィオ・カテラン、マイク・ケリー、村上隆、ジョセフ・コスースなど、この一大プロジェクトのキャスティングも素晴しい。言ってみれば、世界でも稀なアートセンターの一つにおける、最高の現代アート作品群だ。
実際にパレ・ド・トーキョーの広大な展示スペースにあるヴィジュアルオペラでは、様々なアートワークが互いに影響し合い、それは混沌としていながらも、とても楽しい「M/M」世界への旅となった。
M/M, poster
M/Mは、ペインティングに彫像を重ねたり、アートワークにポスターを施したり、またはポスターにアートワークを施したりしながら、一般的ではない、意外な、もしくは絶対に合わないと思われるような組み合わせをつくりだしていた。この「トランスレーション」展は、彼らが他でも開催中のグループ展と同じように、M/Mの大きなインスタレーションとも言える。M/Mのポスターも素晴らしく、時にそれらはアートワークそのものよりも良く見えたから面白い。とてもパワフルで、興味をそそるできだった。
Ashley Bickerton, F.O.B., 1993
また、それに劣らず十分に印象的な作品もいくつかある。その一つが村上隆のプロジェクト「INOCHI」(2004)だ。これは村上氏の新しい作品で、高さ約5フィート(1.4メートル)のエイリアンボーイの像が、日本の教室の様々なシーンのショートビデオと共に展示されていた。特に牛乳アレルギーのビデオには笑わされた。村上氏の作品の可愛さは、同時に商業的でもある。彼はこのプロジェクトを、まるで車やレジャーのプロジェクトのように手がけていた。東京の大手フィルムメーカーの会社と共に、スクリプト、キャスティング、サウンド、コンセプトなどプロジェクトの様々な要素に働きかけている。現代アートの世界で、最も意欲的な魅力ある映像作品になっていた。
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