アメイジング・ツインズ
PEOPLEText: Shinobu Koike
1994年にベニー・オウとコーラン・ホーの二人で結成されたグラフィックデザインユニット、アメイジング・ツインズ。かつて広告会社で同僚だった二人は、もっと自分達の表現したいものを創っていきたいという思いから退職し、アメイジング・ツインズをスタート。彼等のユニット名でもあるアメイジング・ツインズがトレードマーク兼キャラクターとして活躍するポストカードを中心にデザイン活動を始める。1996年には香港デザイン協会主催のコンクールで7部門受賞(金賞含む)という快挙をなしとげた。現在、キャラクターのフィギュア制作・販売に取り組んでいる。成功や名声に向かってひた走るといったかたくなさはなく、いたってリラックスした雰囲気の二人で、作品に観られる遊び心、優しさは彼等の個性なのだと思わせられる。
彼等の作品の魅力にはデザインのクールさ、ユーモアのセンス、背後に展開されている物語性があげられる。彼等はヨーロッパアート・文化の影響を反映しつつ、中国文化をさりげなくデザインに取り込む。東洋・西洋や文化の違いを融合して、既存の枠組みにとらわれない、どこにも属さない独自の世界を作り上げている。それはアメイジング・ツインズが登場するシリーズだけでなく、他の作品にも共通して存在する世界だ。
彼等は手書き風イラストレーション(コーランはヨーロッパのコミックに明るく、自身でも漫画を描く)から3DCG、フォトコラージュなど一つのスタイルや手法にこだわることなく様々なデザインを展開。色使いもポップなものからシンプルなモノトーンと、カードのメッセージやその時々のコンセプトに沿って幅広い。一連の作品を通して観ると彼等の好きなことを柔軟にやっていくという姿勢、そしてデザインに対する意欲が分かる。同時に、どこかユーモアがある。それは、メッセージ(言葉)とグラフィック(時として不可思議な発明品のような機器だったりもする)のコラボレーションの妙だ。
カードに印刷されているクレジットには「Made in Amazing City by Amazing Twins」とある。先日、オープンした彼等のホームページを訪れると、アメイジング・シティというのがどういう所で、どんな芸術家を輩出してきたかなどアメイジング・ツインズの物語が分かる。彼等の遊び心に触れることのできるサイトだ。
Text: Shinobu Koike
Photos: Courtesy of Amazing Twins