「アート・ミーツ・メディア:知覚の冒険」
そして、一見ポップだが、ヘビーな社会性のあるメッセージを突きつけてくるシルパ・グプタ。「キドニー・スーパーマーケット」はタイトルの通り腎臓をテーマに扱い、それらに関連する情報をビデオなどで扱い、砂糖でつくられた色とりどりの腎臓がディスプレイされるという、ちょっとした不気味さをもったインスタレーション。
「キドニー・スーパーマーケット」シルパ・グプタ, 2002
この砂糖で作られた腎臓は実際に買うこともできる。また、彼女もアーティスト・トークに参加していて、その他の作品などもそこで紹介された。
「キドニー・スーパーマーケット」シルパ・グプタ, 2002
その他にも藤幡正樹の「ビヨンド・ページズ」や岩井俊雄の「メディア・テクノロジー〜7つの記憶」なども今回の展覧会に出展されていた。
「ビヨンド・ページズ」藤幡正樹, 1995
デジタル端末の発展と共に、ぼくらは生活する環境で非常に多くの情報を扱えるようになった。そして、テクノロジーや社会問題など、以前は専門家が扱うような事象が横断的に関連していっている。だが意外とこういった出来事や関連性などを日常で感じたり、考えたりすることは無いのではないだろうか。しかし、アートという切り口でアーティスト達がテクノロジー、情報、人、環境などの問題や可能性を顕在化することで、遠く離れていると思っていたことが突然目の前に現れ、ぼんやりしている頭を覚醒させ、何気ない事柄が豊かな意味を持ち始める。
今回の展覧会のテーマ上、決して展示されている作品がメディア・アートの最前線というわけではないが、80年代末をメディア・アートにおける一つの出発点と捉え、現在に至るまでの全体像を俯瞰するという意味では、とても充実した内容となっていた。3月21日までの開催なので可能な方は是非行ってみてもよいのでは。
アート・ミーツ・メディア:知覚の冒険
会期:2005年1月21日(金)〜3月21日(月)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター
住所:東京都新宿区西新宿3丁目20−2 東京オペラシティタワー4階
TEL:0120-144-199
https://www.ntticc.or.jp
Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Yasuharu Motomiya