マイクロウェーブ・フェスティバル 2007
HAPPENINGText: Samantha Culp
1996年から始まり、その基盤を作り上げてきた香港のマイクロウェーブ・フェスティバルが「ルミナス・エコー」(発光反響)というテーマのもと、恐らく今までで一番大きな成功を納めた。2006年に完全に再生されたこのフェスティバル、そして2007年度は公式に独立した組織となり、今年はマイクロウェーブの発展にとって確実に重大な出来事が見られたようだ。しかし、年一回行われるこのイベントは、新しいメディアアートのディスプレイは土地特有の問題に悩まされており、香港ではなかなかアートステージに触れる機会も簡単ではないのが実状らしい。
Henry Chu, Sound of Market, 1996
今年のテーマは「ルミナス・エコー」。都会人の住む(とりわけ香港の話だが)オーディオとヴィジュアルの刺激が海の反射となり、水中に沈められているよう。都市の景観の中の浮かび上がるネオンやビルボード、ショップのウィンドウからラジオが鳴り響いていたり「発光する」もしくは「反響する」要素は明らかに、無駄だと思われがちである。マイクロウェイブの、今回一番記憶に残るイベントは、商業的な公共の景観の構造から直に変えることだった。
Graffiti Research Lab, City Hack Special: L.A.S.E.R. Tag
アメリカの集団、グラフィティ・リサーチ・ラボは「シティ・ハック・スペシャル:L.A.S.E.R. Tag」と題された二つのイベントを行ない、ハイパワーのレーザープロジェクターによるビームで、巨大なデジタルグラフィティが九竜と香港のビルの上に浮かび上がった。数えきれないほどのオーディエンスが見る中、チャイニーズキャラクターやアニメキャラクターの顔がスターフェリー乗り場、文化センターのようなシティランドマークシンボルがレーザータグで装飾された。あいにく香港警察は観客の多さに頭を悩ませていたようで、しばしばタガーにルートを変えるように促していた。
他の作品とイベントはその壮大さよりも商業的な自然に対抗する事により注目が集まり、しばしば視覚と音という共通のテーマから離れてしまうものもあった。
Yao Bin, Luminescent Rain, 2007
シティホールのメイン展示スペース(前年は、このようなショーには不十分な設備と言われていた)では、北京のアーティスト、ヤオ・ビンが「ルミネセント・レイン」(マイクロウェーブのタイトルのからのインスピレーションかそれとも単に偶然の一致?)という作品を披露した。ビジターがまっすぐなグリーンのレーザーラインの下に手をかざすと、雨音が聞こえる仕組みである。
Kingsley Ng, Musical Loom, 2005
香港のキングスレー・ンはフランスのモーションセンサーで動く織機のレプリカを製作した。ビジターが彼らの手を「音楽の織機」に手をやると、様々な音が作られるのだ。
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