ソナーサウンド・トーキョー 2004

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

二日目は開演の時間帯も一日目とはうってかわって、夕方から12時まで。会場の雰囲気も昨日とは違う、どこかのんびりしたもの。さすがに、二日連続オールナイトでは少々堪える年齢に差し掛かっている人にはとても親切なイベントプログラム。ソナーサウンドで扱われる音楽を聴いている年齢層が比較的高いことも関係しての配慮だろうか。


Chicks on Speed, Juan Atkins and Carl Craig

ホールでもセットも前半はビートきつめのアーティストで後半はよりエレクトロニカなサウンドが志向されていた。前半はやはり、T・ラウルシミール。パンクロックとエレクトロニック・ミュージックの融合をこれほど突き抜けた形で表現できるアーティストも少ない。破壊的でポジティブなメッセージに溢れた演奏を展開。しかし、相変わらずホールの中で本人が一番のりのりだった。


T.Raumschmiere

最後に触れない訳にはいかないアーティスト、大取として登場したのが、ヒューマン・オーディオ・スポンジ。過去、あまたの有名グループが再結成をして、懐古主義的なサウンドに終始するなか、世界のエレクトロニック・ミュージックに大きな影響を与えたYMOの細野晴臣、高橋幸宏、そして坂本龍一が柔軟に新しい音楽を追求しサウンドと同時に名前も変え再結成ならぬ、まったく新しい形としてソナーサウンド・トーキョーに出演した。

途中、コーネリアスの小山田圭吾などもゲストに向かえ、往年の名曲のエレクトロニカ・バージョンなども披露、会場には入りきれない人が溢れ入場規制が行われるほどだった。

ラボの方でもライブ中継で映像と音が流されそこにも会場に入りきれなかった観客が集まっていた。坂本龍一が鍵盤を引き、高橋幸宏がドラムを叩き、細野晴臣がベースを弾くという3人が揃い踏みした姿を観ていると、エジプトのピラミッドがハイテク装備を施され現代に蘇ったのを目撃してしまった気分になる。

全体を通して驚きだったのは、これだけの人がこのようなジャンルの音楽を聴いていて、理解を示していることだった。中には、よく聴き込まなければ分からない音楽も存在する、何でもありのこのジャンルだが会場が人で埋め尽くされる程の観客が同じ場に集まり、体験を共有できるのは少し前までは思いもよらない奇跡みたいなものだった

こうして、音楽とテクノロジーと人との出会いの二日間が終わった。

Sonarsound Tokyo 2004
会期:2004年10月9日(土)、10日(日)
会場:恵比寿 ザ・ガーデンホール 、ザ・ガーデンルーム 他
info@sonarsound.jp
https://www.sonarsound.jp

Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Yukari Morishita

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