ノメダ&ゲディミナス・ウルボナス「ルタ・リメイク」
HAPPENINGText: manuelis Ryklys
さて音の話に戻ろう。展覧会会場を歩いていると、女性の声のサンプル音が様々な方向から聞こえてくる。歌声や話し声が、つぶやき声や囁き声と入り交じる。聞こえてくるものは全て録音されたものなのだが、ある種のインタラクティビティも楽しむことができ、ライブパフォーマンスのような感じさえする。
このインタラクティビティは、伝説の楽器「テルミン」と同じ理論で動く「theraMIDI」が可能にした。このようなマシンを使うのには、技術よりも感覚の方が大切だ。
このインタラクティブなサウンド・インスタレーションを「ルタ・リメイク」の一環として実現するために、ドイツのサウンド・エンジニア、オットー・クラエンツラー(エレクトロニック・ミュージックのパイオニア)とプログラマーのスティーブン・グリーンウッドが協力した。
訪れた人はテーブルの上で手を動かすと、音のサンプリングがあらかじめ用意されているコードとともに動き出す。このコードというのは、音をヘンルーダのパターンに視覚化するデジタルスクリプトだ。ここでは、ヘンルーダのパターンがこのインスタレーションの楽譜となる。
「ルタ・リメイク」には、ヘンルーダ・パターンを“味わう”もう一つの楽しみ方がある。若い世代の女性音楽プロデューサー(DJ/作曲家)を招き、「ルタ・リメイク」のサウンドを塗り替えた。
ジョン・ケージのミックスバリエーションから、今日のコンピュータ化されたコンセプチュアルなミキシングまで、様々な角度からのミキシングを見せるこのパフォーマンスに、オットー・クラエンツラー(ルタ・リメイクの技術関連を担当)も魅せられていた。訪れた人も、パフォーマンスしながらレコーディングされているかのようなこの“ミキシング学”コンサートを楽しむことができる。
RR: Ruta Remake
会期:2004年6月25日(金)〜8月22日(日)
会場:CAC (Contemporary Art Centre)
住所:2 Vokieciu, 2001 Vilnius, Lithuania
https://cac.lt
Text: manuelis Ryklys
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Courtesy of Nomeda and Gediminas Urbonas
