NIKE 公式オンラインストア

ヘルムート・ニュートン追悼展

HAPPENINGText: Kristy Kagari Sakai

2月21日までは予定通りメインのギャラリースペースでは、エリオット・アーウィットの素晴らしい作品が展示され続けるが、ニュートンの死後、オフィスも含まれる小さな部屋に、彼を追悼すべく展示スペースが設けられた。そこでは上記に述べた出版物からの作品と、珍しいポラロイド写真が展示されている。金属製のらせん階段等と絡み合う彼の作品は、彼の偉大性を象徴すると同時に置かれたスペースに気持ちよく馴染み、その冷淡なエロティシズムが彼のベルリンへの思いやりを不思議に語っていた。

1938年、ユダヤ人にとってますます危険になってきたナチス・ドイツをニュートンは去った。しかしベルリンで過ごした人生最初の18年間はその後の活動に大きな影響を与えている。初めてのカメラを手に入れたのも、演劇専門の女性写真家エルセ・サイモン(通称イヴァ)の元に弟子入りして本格的に写真を始めたのもベルリンだった。

彼が撮る両性的で強い女性達は小学校時代から憧れていたマレーネ・ディートリヒに限りなく似ているし、妻のアリス・スプリングとジェリー・ホールをヒトラーとエヴァ・ブラウン(ヒトラーの妻)に変装させたり、ナチのプロパガンダ映画製作者として知られていたレニ・リーフェンシュタールの足にこだわったりと、ニュートンらしく皮肉いっぱいだが、ナチス・ドイツのテーマにも深い興味を持っていた。

2003年の10月、ニュートンはベルリンへ1000点以上の作品の寄付してこの街への愛情を示した。このコレクションはベルリンのツォー(ベルリン動物園)駅の向かいにあるベルリン芸術図書館に収められる事になっている。この古い建物には今、ニュートン夫妻の指導によって大掛かりな修理が行われているが、それが完成次第、ニュートンの作品とベルリン市が持つ19世紀〜20世紀の写真のアーカイブ、そして若手の写真家の作品が展示される予定だ。

この建物はニュートンにとって意義深く、第2次世界大戦が始まる寸前に逃げるため電車に乗ったところ、最後に見た建物だと説明している。エロティシズムとその彼方をファッションとポートレート写真に取り入れ、写真界、そしてある意味70年代の大衆に多大な影響を及ぼしたニュートンは、生まれ故郷に自分の作品が戻ってきた事を誇りに思うと語った。『ヌードに限らずだ』と。

In Memory of Helmut Newton
会期:2004年2月4日(水)〜21日(土)
会場:Galerie Camerawork
住所:149 Kantstrasse, 10623 Berlin
TEL:+49 (0)30 3100 776
https://www.camerawork.de

Text: Kristy Kagari Sakai
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Kristy Kagari Sakai

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE