ルイザ・ランブリ

PEOPLEText: Ilaria Ventriglia

『機能主義の建築をたたえ上げているのではない。非物質的な空間の質と、作品に流れる曖昧で目に見えない次元を探した。』


Asilo d’infanzia Sant’Elia, Como, Giuseppe Terragni, 1936-37. Photo: Luisa Lambri

光は、ルイザ・ランブリの作品の中で最も素晴しい要素の一つだ。ときに、デジタルによって、光線は青くなってみたり、透明になったり、抑揚したり、白くなったりと変化する。それは、直感的に変動する非物質的な状態だ。そして、魂からくる、不自然で、神秘的な、神が与えたと言っても良いような光なのだ。

自然物と人工物の関係は、ルイザ・ランブリの作品の重要なコンセプトになっている。建物の自然な空間は、人工ー心理ー風景に形を変える。その光と色は、壁の構造のように見える。それぞれの領域に境界線を引いているといえる一方で、2つで一つのキャラクターを表してもいる。


Villa in the forest of Tateshina, Kazuyo Sejima, 1995. Photo: Luisa Lambri

『私を魅了するその空間は、ほとんど抽象的なものだ。スペースを完成させるために、空虚で人間的な存在を必要としている。全てのディテール、全てのラインにおいて、記憶が凝縮している。』

建築物の撮影自体は、パラドックスだ。写真は、建築から個としての存在と、機能主義、素材の全ての本質を排除する。そして、光の純粋性をもたらしているのだ。

非物質的な世界へと、建築物を移動するのに3次元を除去する必要は無いが、写真を通してもう一度そのコンテクストを読み直してみる必要がある。写真によって抑制された形とラインは、感情を掻立てる空間の中で自由に浮遊している。そしてそれらは、建物のイデアのみが存在する天空まで届いて、優れた構造を持つ魂のための部屋と、目に見えない住居を作っている。この最新作品で、彼女は初めて現在も活躍する建築家にアプローチし、仮想のインテリアをもう一度捉えた。

Text: Ilaria Ventriglia
Translation: Naoko Ikeno
Photos: Courtesy of Domus © Luisa Lambri

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