第8回 ニューヨーク・デジタル・サロン

HAPPENINGText: Michael Foronda

第8回目を迎えたニューヨーク・デジタル・サロンがスクール・オブ・ビジュアル・アーツ(SVA)で開催され、12月9日に幕を閉じた。プロフェッショナルな人達だけでなく学生達の作品もフィーチャーし、デジタルプリント、CD-ROM、インタラクティブ・インスタレーション、彫刻、デジタルビデオ、コンピューターアニメーション、パフォーマンス、ウェブサイトなどの形式で表現されるコンピューター関連アートを発表した。

このデジタルサロンは、今後もイタリアのミラノ、スペインのバルセロナ、マドリード、アリカンテ、ポルトガルのカナリー島、リスボンなど、ヨーロッパ、アジア各地で開催される予定。サロンの模様は、ウェブサイトでもチェックできる。


Audiovisual Environment Suite, Golan Levin, 2001

800を超えるエントリーがあり、エリック・デイヴィスペリー・ホバーマンエリック・ジマーマンなどの審査員達が、アートを選ぶという伝統的な基準のもとに選考を行い、今回選ばれた85作品は、ギャラリー展覧会、アニメーション、ネットワーク(ウェブサイト)、エッセーの4つのブロックに分類された。ニューヨークデジタルサロンのディレクターであり、SVAコンピューターアート・マスターズ・プログラムの主任教授であるブルース・ワンズは、以下のようなコメントを残した。

『ついにデジタルアートが十分な発展段階に達し、今年の展覧会は、ファインアートを制作するためのツールとしてのコンピューターの重要性をさらに強調するものとなっている。』

ウェブで活動するデザイナーとしての僕自身の特殊な傾向のために、根本的な構成要素である非法人のインタラクティブ性を持った作品に注目せざるを得なかった。驚くべきことに、これらの作品は、時にウェブサイトという枠を飛び越えた表現を見せていた。ウェブ/メディアカルチャーに焦点を置いたものかと思えば、それとは逆に、より微妙な結果を生む触知的なオプションをも持っているものが数多く見られた。

ゴラン・レヴィンの「オーディオヴィジュアル・エンヴァイロメント・スィーツ」という作品では、ユーザーは、マークをつけるという動作を通して音楽とアニメーションをインタラクティブに制作することができる。この「ビジュアル楽器」は、マークのスピードと動きに反応して視覚と聴覚のパフォーマンスを作りあげる。MITメディアラボの美学/コンピューター学グループによって制作されたこのプロジェクトは、IDマガジンやコミュニケーションアーツ誌で多大な賞賛を受けている。

SVA美術学修士課程の学生、シーチー・ホァンは、遊園地のびっくりハウスや、バトルボットを連想させるようなミクスドメディア・インスタレーションを制作。主にボトルやチューブ、ブラックライト、プラスチックで構成され、内蔵のモーション・センサーによって、作品の前を人が横切ると光が点滅し、ギーギーと音をたてる仕組みになっている。

ヨナ・ブルッカー・コーエンの「IPOマッドネス」は、おそらく今回発表された作品の中で最も注目を集めていた作品だろう。スロットマシンのようなその作品は、レバーを引くとランダムなIPOアドレスを発生させ、バドワイザーのCMのように「WHASSUP!」と叫び声をあげるブラウザと合体している。さらに、バナー広告だらけのインターフェイスが、ラスベガスの知性の低さを表現するビジュアルとしてうまく調和していた。プログラムされたURLに辿り着くことができると大当たりで、同時に賛美歌も流れる。

アーティストは、アイディアを実行するために新しいテクノロジー、ツール、素材を利用する。デジタルメディアがコンテンポラリーアートの世界に侵入し始めた今、デジタルサロンのようなイベントが今後も続き、コンピューターアートの実行と発表を伝える素材を作り上げるきっかけとなっていくことだろう。

第8回 ニューヨークデジタルサロン
会期:2001年11月6日〜12月9日
会場:The School of Visual Arts Musuem
住所:209 East 23rd Street, New York, NY 10010
TEL:+1 212 592 2000
http://www.sva.edu/salon/

Text: Michael Foronda
Translation: Mayumi Kaneko

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