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イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル

HAPPENINGText: Alma Reyes

伝説のデザイナーであるクリスチャン・ディオールはかつて、『サンローランは私の唯一の後継者だ』と明言したことがある。サンローランが31歳年上のディオールに初めて会ったのは1955年のことだ。サンローランはまだパリ・クチュール組合学校の学生だった。この2人の超一流ファッションデザイナーの出会いは運命的だった。ディオールがサンローランの才能に感銘を受けたのは間違いがない。ディオールはすぐにサンローランを採用し、サンローランはディオールのアトリエで働き始めた。サファリスーツ、パンツスーツ、タキシード、ピーコート、トレンチコート…。時代を超越したアイコニックなスタイルで、イヴ・サンローラン(YSL)は女性のファッションに変革をもたらし、ファッション界で40年以上にわたって驚異的な成功を収めた。


「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展示風景 Photo: Alma Reyes


「モードの帝王」イヴ・サンローランの衣装、コスチューム、帽子、宝石、スケッチ、ポートレート、グラフィック・アートを紹介する大回顧展「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が国立新美術館にて、12月11日まで開催されている。本展はイヴ・サンローラン・パリの全面協力を得て、没後日本で初めて開催される回顧展となる。1958年にメゾン・ディオールのために発表した最初のコレクションや、1962年に発表した自身のブランド「イヴ・サンローラン」の初コレクションなどから、世界のファッション界への貴重な貢献が262点の展示品により紹介されている。


イヴ・サンローラン、パリにて、1958年、撮影:アンドレ・オスティエ / イヴ・サンローラン、パリにて、1969年、撮影:ジャンルー・シーフ / オートクチュールメゾンを財団へと改装中のイヴ・サンローランとピエール・ベルジェパリ、マルソー大通り5番地にて、2004年、撮影:パトリック・デマルシェリエ Photo: Alma Reyes

第0章「ある才能の誕生」と題された最初の展示室では、写真やドローイングなど、サンローランの様々なポートレートが展示されている。これらの作品では、生誕地であるアルジェリアのオランにおけるサンローランの学生時代や青年時代、それに輝かしいキャリアの要点を見ることができる。ジャンルー・シーフ(1933-2000年)が1969年に撮影したイヴ・サンローランのポートレートは、官能的なモノクローム写真として広く知られている。シーフはサンローランおよび彼のスタジオと密接な関係にあった。アンディ・ウォーホルは1968年にサンローランに会い、『最も重要なフランス人アーティストだ』と評した。ウォーホルは《イヴ・サンローランの肖像》(1974年)を制作している。


スージーと他2人の名前のないペーパードールのためのワードローブ、1953-55年、コラージュ、グアッシュ/紙 Photo: Alma Reyes

サンローランは幼い頃から絵を描くことが好きであり、しばしば自宅でスケッチをして過ごした。母親が読んでいたファッション誌に触発されたサンローランは、13歳の時にオランで見た演劇の舞台衣装や舞台セットに夢中になり、本能的にファッションに惹かれていった。「ペーパードール」は、サンローランが16歳の時に制作したものであり、「紙のクチュールメゾン」の構想につながった。《スージーと他2人の名前のないペーパードールのためのワードローブ》(1953-55年)は、母親のファッション誌から切り抜いた人形に着せ替え用のドレスをデザインした作品だ。11体のペーパードールおよび500を超える洋服とアクセサリーが、1953年と1954年の秋冬コレクションのために制作された。

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