ハッサン・ハッジャージュ 回顧展「モロッコの家」

HAPPENINGText: Ilaria Peretti

偶然に残されたものはない。被写体の人物が身につけている柄や色を想起させる写真の額は、缶やタイルなどのリサイクルされたものから作られている。それは、缶やタイルに第二の人生を与えるようなもので、消費社会に対しての彼の批評的な視点が表現されている。

「Kash Angels」のシリーズは、伝統的なベールとハート型のサングラスを着用したヘナタトゥーアーティストのグループがバイクにまたがる作品。このシリーズを通して、抑圧のシンボルとしてのベールに包まれたステレオタイプな女性のイメージを壊し、アイデンティティーや伝統について疑問を投げかけている。


Kesh’ Angels, Hassan Hajjaj, 2010

彼のヒーローやインスピレーションの源である映画監督、ヒップホップダンサー、ミュージシャン、料理人などを撮影した「My Rock Stars」シリーズでは、部屋のセットを再現し、彼に影響を与えた人々や友人に捧げている。


Loic Mabanza, from the series My Rock Stars, Hassan Hajjaj, 2018

鮮やかな色や姿の活気に満ちた本展の最後を飾るのは、「ハンドプリント」シリーズだ。人が常に中心にいるが、色合いや状況は日常生活のものであるようなドキュメンタリーシリーズで、ハッジャージュはここで彼の作品のより典型的ではない部分を明らかにしている。

展示会全体は、それぞれの細部まで熟考されている。彼は展覧会会場を完全に「モロッコの家」へと変えた。展示スペースは、実際の家のような壁紙の装飾が施され、私たちが美術館では滅多に会わない日常のオブジェクトの暖かみがそこにはある。キッチュでポップな側面は、写真家による問題定義から注意をそらすが、展覧会のアンサンブルは、ステレオタイプに縮小された国本来のエネルギーを表している。


Zahrin Kahlo, Chronique d’une jeune arabe, 2015-16

ハッジャージュは、展示会の期間中、若い才能に特化したスペースであるMEPのスタジオに二人のモロッコ人アーティストを招待し、彼らの作品を発表する。ザーリン・カーロの「若いアラブ人のクロニクル」は、10月13日まで。ラミア・ナジの「プライマリー・カラーズ」は、10月18日から11月17日まで。

Maison Marocaine de la photographie
Carte Blanche to Hassan Hajjaj

会期:2019年9月11日〜11月17日
開館時間:11:00〜20:00(木曜日22:00まで、週末10:00から)
休閉日:月・火曜日
会場:Maison Européenne de la Photographie Paris
住所:5/7 Rue de Fourcy, 75004 Paris
入場料:10 ユーロ
http://www.mep-fr.org

Text: Ilaria Peretti
Translation: Moeko Noguchi

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