ヨコハマトリエンナーレ 2017

HAPPENINGText: Aya Ono

今回で第6回目となるアートの祝祭「ヨコハマトリエンナーレ2017」が横浜美術館横浜赤レンガ倉庫一号館、横浜開港記念会館を会場に8月4日から11月5日まで開催されている。今回のタイトルは「島と星座とガラパゴス」。「島」「星座」「ガラパゴス」は、孤立や接続性、想像力や指標(道しるべ)、独自性や多様性など、色々な捉え方のできるキーワードである。このタイトルを手掛かりとして、先行きの見えない複雑な時代に、人間の想像力・創造力をもって、未来への知恵を多くの人々と共に考えた今回の横浜トリエンナーレ。

AI Weiwei,2016,landmark
アイ・ウェイウェイ(艾未未)《安全な通行》2016 《Reframe》2016 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景(横浜美術館) 撮影:加藤健 © Ai Weiwei Studio 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

横浜美術館入場時に目に飛び込んできた大規模なインスタレーションは、現在中国で最も影響力のある現代美術家アイ・ウェイウェイによる作品「安全な通行」と「Reframe」。中央の柱にびっしりと括り付けられているのは、なんと救命胴衣。左右の外壁には、救命ボートが並んでいる。アイ・ウェイウェイは2015年より難民問題に取り組んでおり、すべて実際に使われた救命胴衣で、約800着もの救命胴衣は当時の緊迫した状況と難民の背景を思い起こさせる作品となっている。

Paola PIVI,2017,yokotori
パオラ・ピヴィ《I and I(芸術のために立ち上がらねば)》など 撮影:田中雄一郎 © Paola Pivi and Perrotin 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会

動物を使ったインスタレーションがヴェネチア・ビエンナーレでも高い評価を受けているイタリアのパオラ・ピヴィのフォトジェニックな巨大クマのインスタレーション。それぞれ作品名が異なっており、左奥、黄緑色と紫色のクマは「I and I(芸術のために立ち上がらねば)」、真ん中薄いピンク色に赤ちゃんクマが引っ付いているのは、「I love my zizi(私の大好きなジジ)」、手前濃いピンク色のクマは「Tell me when you’re ready(準備ができたら教えて)」
作者のパオラ・ピヴィの住むアラスカに生息するクマをモチーフに作製されたようだ。

Christian JANKOWSKI,2013
クリスチャン・ヤンコフスキー 《重量級の歴史》2013 撮影:Szymon Rogynski © Christian Jankowski 写真提供:Lisson Gallery


横浜赤レンガ倉庫一号館の会場では、歴史にフォーカスした映像によるインスタレーションが目立った。ユーモアとペーソスに満ちた写真・映像作品で知られる、ドイツのクリスチャン・ヤンコフスキーによる、「重量級の歴史」はポーランドの重量挙げ選手たちが、ワルシャワにある様々な偉人の銅像を持ち上げる様子を収めた映像作品。鍛え上げられたムキムキの男たちと終始ハイテンションな実況リポーターの存在により、思わず笑ってしまう作品。『さぁ、彼らに歴史の重さを感じていただきましょう。物理的に!』少し動いて持ち上がったのを確認すると『たった今、歴史が動きました!』と大興奮で実況。終わった後の選手は「偉大な歴史を動かせたことを誇りに思う」と真顔で一言。
リポーターのユーモアな実況と、“歴史”に真正面から向き合う選手たちの妙なバランスが可笑しいのだが、「重量級の歴史」というタイトルを思い出し、歴史の重さを痛感させられる作品であった。

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