ミラノ・デザイン・ウィーク 2017

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

H&Mのハイブランドラインである「COS」が印象付けに行ったプレゼンテーションは、スタジオ・スワインによる不思議なシアターだ。劇場の中に配された樹のようなオブジェから生み出されるしゃぼん玉。そのしゃぼん玉は、まるで巨大なタピオカのようにぶよぶよしたものでなかなか破裂しないので、手に取ったり、打ち返しできたりする。いよいよ破裂すると煙が立ち上る。そんな不思議な「しゃぼん玉」の樹に誘われ、沢山の人々が戯れる。テクノロジーが生み出すファンタジーは、体験と共にブランドを認知させる。このようなこころ動かされる表現により、「ミラノ・デザイン・アワード」のIEDベスト・エンジニアリング賞を受賞した。

消費者にそのプロダクトを通じて寄り添おうが、圧倒的なマジックでインプレッションを与えようが、テクノロジーに纏わるプレゼンテーションは、デザインを通じた体験を与えることにより訴求を果たそうとしていた。同じく、現在のライフスタイルとともにあるデザインもまた、体験が人々に強い印象を与えるかのようだ。

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© IKEA

IKEAは郊外の会場に、自社製品によって構築したインテリアの遊園地を「IKEAフェスティバル」と称して開催した。巨大な倉庫に展開する空間では、組み立て部材を奇妙に組み合わせたユーモラスなインスタレーション、枕をこれでもかと詰め込んだソファーで当にまくら投げをし放題だったり、沢山のフラフープ(これもIKEAで販売されている商品!)が積み上げられたりと、ライフスタイルのショーケースというよりも、IKEAでみっちり遊び込める空間となっていた。

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© Teenage Engineering

居るだけに楽しさ溢れる空間で、ユニークなシンセサイザーのリリースを続けるティーンエイジ・エンジニアリングによる愉快な音楽が気分を盛り上げ、会場のあらゆるところで開催されるヨガから工作まで幅広いワークショップが、よりプレイフルにしてくれる。

「IKEAハック」という言葉があるくらい、あれこれいじくり倒してみたいという妄想を常に起こさせてくれるIKEAの組み立て、それをこれでもかという祭り空間とした体験は、気合いをいれたプレスだけでなく、デザインウィークを楽しむミラノの数多の人々にとってもブランドとしての印象を高めてくれる。

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