タン・シウリ

PEOPLEText: Aya Shomura

1855年にセント・ヨセフ学院として建てられ、現在は修復された建物。そしてもうひとつクィーン通りを挟んで建つ、いかにも旧カトリック高校の校舎であったことが一目瞭然な保守的外観を維持したままの建物。どちらも、シンガポール美術館(SAM)の所有物である。その歴史的外観とは違い、この美術館は様々な現代アート作品や作家を紹介してきた。今回、そこでチーフ・キュレーターとして働くタン・シウリにインタビューをする機会を得た。彼女が注目する若手作家や、最近手掛けた展覧会などの話も伺った。

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© Tan Siuli

まずはじめに、自己紹介をお願いします。

シンガポール美術館(SAM)でキュレーターをしています。SAMはシンガポール、東南アジアの現代アート作品を中心に集めた美術館です。大好きなことをして生活していけるのは、とても幸運だと思っています。私の主な仕事は、SAMと別館の「SAM at 8Q」に来て下さる皆さんに見ていただく現代アートの展覧会を、同僚たちと共に企画することです。それぞれの展覧会がスタートするまでには多くの調査研究と話し合いを行っています。SAMでは、どのアーティスト、どの作品が次の展覧会に相応しいかを話し合う際、展覧会を素晴らしいものにするために、東南アジア各国を担当するそれぞれのキュレーターが専門分野の知識を活かしています(ちなみに、私はインドネシアを担当)。

現在は、この2つの施設で海をテーマとした展覧会を開催中です。SAM at 8Qでは子供や家族向けの「イマジナリウム:大海を越えて、海の下で」、SAMでは同時開催の展覧会「オデッセイ:ナビゲ-ティング・ネームレス・シーズ」を開催しています。こちらはより複雑な問題を掘り下げた作品を展示しており、もう少し大人向けとなっています。

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Rashid Rana “Offshore Accounts-1” 2006, “Odyssey: Navigating Nameless Seas” 2016 © SAM

シンガポール美術館を初めて訪れる人へのおすすめは何かありますか?

気負わずに来てもらえればいいと思います。SAMでは、普段皆さんがよく見るものとは全く違った絵画、彫刻など現代アート作品を展示しています。現代アートは表現形式や使用媒体の範囲、そして多くの場合アーティストが使う材料の選択が作品に重要性を持たせます。SAMの展覧会では、芸術の発展に関する年代順の配列やタイムラインに沿ったものよりはむしろもっと大きなアイディアで展開しています。SAMに来場する際には、どんどん探究し、質問し、多くのインスピレーションを得て欲しいと願っています!

作品のキャプションや展覧会のガイドには展示作品の情報が多く含まれていますが、より詳しい情報を知りたい場合は、毎日行われているガイドツアーに参加することができます。もし企画側の話を聞きたいのであれば、キュレーターによるガイドを選ぶこともできます。こういったツアーでは、キュレーターは展覧会について「舞台裏」でどんなことが起きていたのかを皆さんに伝え、出展されている作品やアーティストについての質問にもお答えしています。

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“Imaginarium: Over the Ocean, Under the Sea” 2016, SAM at 8Q

最近キュレーションを行った展覧会について教えて下さい。

最近は、上でも述べたように2人のキュレーター、アンドレア・ファムとジョン・タンと共に「イマジナリウム」と「オデッセイ」の展覧会を手掛けました。またSAMのスタッフ全員が、今年10月から始まるシンガポール・ビエンナーレ2016の準備に追われています。「アトラス・オブ・ミラーズ」と題されたシンガポール・ビエンナーレ2016は、東南アジア、その他のアジアの現代アート作品を紹介します。シンガポール、マレーシア、南アジア、東アジアのキュレーターたちと共に、互いの反響を総合的に調査し、またそれぞれの歴史を共有しながら、共に仕事ができることにとても興奮しています。そして、実力派から新進気鋭のアーティストまでが織りなす、新しい物語と新しい物の見方を生み出す作品を展示する予定です。

Portrait No. 1
Fyerool Darma “Portrait No. 1 (Raden Saleh)” 2015, Exhibition “Moyang” Flaneur Gallery, acrylic and charcoal on canvas with charcoal coated frame, 110cm x 84cm

あなたが出会った、共に活動した注目の若手アーティストを紹介いただけますか?

フリール・ダルマ。彼の最初の個展「モヤング」での病的で美しく謎めいた完成された絵のシリーズに魅了されました。フリールの作品は、シンガポールとこの地域の閉塞した歴史の回復に関する研究について伝えてくれます。シンガポール・ビエンナーレ2016のために制作している新作が楽しみです。

タン・ズー・シー(メッシー・メスキー)は、今年の「イマジナリウム」の展覧会で知り合うことができたアーティスト、イラストレーターです。彼女の風変わりで繊細なイラストが大好きです。自然界における私たちの活動の影響に関して、アートを通じて意識を高めようとする彼女の情熱に心動かされます。2016年8月末までSAM at 8Qで行われている彼女の素晴らしいインスタレーション「プラスチック・オーシャン」は必見です。

Imaginarium: Over the Ocean, Under the Sea
会期:2016年5月14日(土)~8月28日(日)
時間:10:00~19:00(金曜は21:00まで、入場は閉館45分前まで)
休館日:日曜・月曜日
会場:SAM at 8Q
住所:78 Queen Street, Singapore 188535
TEL:+65-6589-9580
http://www.singaporeartmuseum.sg

Text: Aya Shomura
Translation: Satsuki Miyanishi

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