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五十嵐 淳

PEOPLEText: Hanae Kawai

リユーズといえば、SHIFTの編集室が入っているミュージアムも北海道の建築物のリフォームですね。他の案件と異なり、ミュージアムは専門の内装業者は入らず、SHIFTのスタッフ自らリノベーションすることが前提だったと聞きました。気をつけたこと、大変だったこと、面白かったことなどを教えて頂けますか?

先ず骨格(構造躯体)が素晴らしい建築であることに気付きました。そこで厚化粧(ハリボテ)を撤去することから始めて頂きました。その後、デザインに関するコードのような決まり事を全体にセルフリノベーションして頂きました。通常の工事の場合、設計図通りに忠実に作ることになるのですが、セルフリノベーションの場合、突発的に現場で合意形成が生まれ、そこから新たな発想や空間が作られる面白さがあります。つまり今回、僕はある種の「デザインウイルス」を古い建物に注入しドライブさせたのです。

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“MUSEUM” Jun Igarashi, Sapporo, 2014, Photo: Jun Igarashi

また、資源や古い建築物の再利用について、どのように考えていらっしゃいますか?

建築もその他のモノも、単に古ければ価値があるということでは無いと考えます。ですので再利用すべき建築であるかどうかを冷静に判断する必用があると考えています。

現在の幅広い活動を考えると、もっと利便性のよい立地もあると思うのですが、なぜ、事務所は佐呂間なのでしょうか?

祖父は大工の棟梁で戦後、佐呂間で工務店を始めました。私は三代目という立場で建築を始めました。特に佐呂間にこだわりがある訳ではなく、たまたま佐呂間でスタートしてがむしゃらに走り続けていたら、あっという間に時間が経っていました。実は今年の秋から札幌へ拠点の中心を移動します。これは必然的な流れだと考えています。


“Osaka Contemporary Theater Festival -Temporary Theater” Jun Igarashi, Inner Mongolia Autonomous Region, 2005, Photo: Shinkenchiku-sha

影響を受けた人物や作品について聞かせて下さい。

小学生の頃、テレビで安藤忠雄さんのドキュメンタリーを見ました。その中の「住吉の長屋」という家の真ん中に中庭のある建物が紹介されていて、僕は家の真ん中に外部があることに衝撃を受け、素直にこんな家に住みたいと思いました。その後、高校生の修学旅行の時に、たまたま安藤忠雄さんの建築に出会い体験する機会がありました。その時は安藤さんの建築だと知りませんでしたが、とても惹かれました。建築を学ぶようになり再び安藤忠雄さんの書籍に出会い、過去の体験と同期しました。安藤さんには「建築家」という存在として惹かれました。建築そのもので影響を受けたのは篠原一男妹島和世レム・クールハースなどですが挙げるときりがありません。建築ではありませんが倉俣史朗さんにもとても影響を受けています。

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“house O” Jun Igarashi, Inner Mongolia Autonomous Region, 2008, Photo: Iwan Baan

今、訪れてみたい場所を教えて下さい。

世界中を隈無く体験したいですが、今は特にスリランカへ行きたいです。

最後に、今後の活動や目標について教えて下さい。

多様に様々なことに関わって行きたいと考えていますし、色々と僕を活用して頂けるように状態を開いていければと思います。その結果、札幌や北海道がワクワクするような場に変化していく多様な「良きウイルス」を発明していきたいです。

Text: Hanae Kawai

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葛西由香
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