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カウパレード・ニセコ

HAPPENINGText: Aya Shomura

北海道を代表する観光地ニセコ、倶知安エリアにて世界最大の一般参加型アートイベント「カウパレード・ニセコ」が10月1日まで開催されている。

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“CowParade Niseko”, Wabisabi, “Hollow Cozy”, Niseko Viallage “Two Sticks” Area, 2015

ニセコ町東山温泉にあるニセコビレッジ「トゥスティックス」エリアにて、7月3日開催されたオープニング・パーティーには、近隣の住民のほか関係者や参加アーティストら200名ほどが参加し、親交を深めていた。除幕式ではワビサビのホルモン柄のカウが披露され、その後は羊蹄太鼓「鼓流」による和太鼓の力強い響きが子供から大人までを魅了、ジャズの生演奏が流れるなか終始賑やかな雰囲気だった。

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“CowParade Niseko”, Opening party, Niseko Viallage “Two Sticks” Area, 2015

冬場は海外からの観光客で溢れるニセコで、初めての大規模な夏のイベントだ。今年始めにアーティストから広くデザインを募集、5月から6月にかけて選出作家らによる現地滞在や日本各地での制作が行われ、全47体のカウが完成した。カウはニセコ、倶知安エリアの屋外(一部、屋内もあり)に45体、札幌に2体が展示され、いずれも一般公開中だ。

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“CowParade Niseko”, Ryo Matsuoka, “untitled”, Niseko Viallage “Two Sticks” Area, 2015

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“CowParade Niseko”, Shuun, “mojamoja”, Niseko Viallage “Two Sticks” Area, 2015

ニセコビレッジに展示されているのは、ワビサビのほか、ライブ・パフォーマンスにも定評のあるアーティスト松岡亮、緻密なラインで色彩を自在に操るシュゥンなど4体のカウ。町家で休むカウの姿は、早速ヒルトンニセコの宿泊客たちの絶好の撮影スポットにもなっていた。

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“CowParade Niseko”, Saki Chikaraishi, “Knitting Cattle Mutilation”, Hirafu Downtown Area, 2015

また、ひらふ十字街界隈には、ハイパーニットクリエイターの力石咲らの作品が点在。力石のカウは、滞在期間に収集した「ニセコの記憶」を編み込んだ作品で、表面をコーティングしていないため、時間とともに風化し表情を変える。小型のUFOが紡ぎ出すニットに包まれているそうなので、UFOがどこにいるのかを探すのも楽しい。

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“CowParade Niseko”, Jan Van Wezmael&Eight, “Sir Lion”, Hirafu Downtown Area, 2015

なかにはパステルカラーで可愛らしい見た目とは裏腹に、近づくと牛肉の部位で色分けされており「ジューシーでおいしい」といったような説明(感想)がそれぞれ書き込まれている。その名も「サーロイン」。ほかにも、山梨県から参加した北海道出身の参加者も家族で訪れ、自身の作品が置かれている環境を堪能していた。

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“CowParade Niseko”, Hiroaki Suetsugu, “Really really love it!!!”, Hirafu Downtown Area, 2015

草原をまとったような末次弘明のカウの背中に、バッタが休んでいるところを発見。このカウ、なんと下塗りの時点で赤や青など複数の色が使用されており、表面の緑色に奥行きが感じられるのである。室内での静謐なインスタレーション作品というイメージのある彼の、新たな一面を垣間みることができた。

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“CowParade Niseko”, Toshiya Kobayashi, “Cow Dreams, too”, Hirafu Downtown Area, 2015

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“CowParade Niseko”, Chisato Shinya, “Brace”, Hirafu Downtown Area, 2015

ひらふ坂もカウが多く、ゆっくりとカウを散策していると急な勾配もさほど気にならない。ここにも、ドイツをはじめヨーロッパや国内の展覧会にも招致されることの多い小林俊哉、そして絵本の挿絵をはじめ雑貨、菓子パッケージなど幅広くデザインするシンヤチサトのカウが思い思いのスタイルでニセコを満喫している。隣に座り込み、空を見上げている子供もいた。

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“CowParade Niseko”, Yumi Fuzuki, “Komore-bi”, Hirafu Downtown Area, 2015

少し奥まった場所にあるホテル山自然には、高校在学中に第46回現代詩手帖賞を最年少で受賞、初詩集にして第15回中原中也賞受賞など、活躍が目覚ましい詩人の文月悠光の作品が佇んでいる。「木漏れ日」と名付けられたカウは、そこだけに木漏れ日が降り注いでいるかのように静かで穏やかだ。カウ表面に刻まれた詩にも注目して欲しい。

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“CowParade Niseko”, Takuya Yonezawa, “Cow Ball”, Hirafu Downtown Area, 2015

今回、初めての立体作品に挑んだ若手作家の一人、米澤卓也のカウのテーマは「ミラーボール」。円形にカットされたガラスをカウのボディに貼付けた作品だ。「円形のガラスを300個弱使用しましたが、貼り慣れるまでが特に大変でした」と制作を振り返る。乱反射するカウは光学迷彩のごとく、ニセコの大自然に溶け込んでいた。

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“CowParade Niseko”, Kumi Shibata, “Aquatic Cow”, JR Kuchan Station, 2015

もちろん、倶知安駅でもカウがお出迎え。列車で一緒に乗り合わせた年配の登山客らも、口々に「あら牛さん、こんにちは」、「かわいい」と評判が良い。

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“CowParade Niseko”, Souvenirs, hirafu188, 2015

本イベントでは、無料でダウンロード可能な公式アプリ(アプリ名:COWBOY Cow parade Niseko)がリリースとなった。このアプリでは、カウのデザインの画像やアーティスト情報だけでなく、カウの近くに行くと反応するGPS対応。多くのカウに会えば会うほどお得な情報やクーポンも入手可能な特典付きとなる。また、関連グッズも数種類販売されており、お土産に喜ばれそうだ。

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“CowParade Niseko”, Mini Moo, Shine on Kids, hirafu188, 2015

公式フェイスブックでは、カウ制作期間中の制作風景画像や動画で随時公開され、話題を呼んでいた。アートに加え、チャリティとしての要素も大きく持つ本イベントでは、展示後にカウがオークションにかけられ、収益金は子供のための慈善事業に寄付される予定だ。会場には、実際に小児がんや重度の障害を負った子供たちのデザインしたミニカウも設置されている。

カウパレード・ニセコをきっかけに、冬場のアクティビティだけではない夏のニセコの魅力を発見できそうだ。

CowParade Niseko
会期:2015年7月1日(水)~10月1日(木)
会場:ニセコ、倶知安エリアに点在(地図ダウンロード
アーティスト:小林俊哉、シュゥン、シンヤチサト、末次弘明、力石咲、文月悠光、松岡亮、米澤卓也、ワビサビほか(五十音順/全47体)
公式アプリ:コチラよりダウンロード(無料)
主催:一般社団法人ニセコプロモーションボード
協賛:池内グループ、シャレーアイビー、HTホリデーズ、ニセコグラン・ヒラフ、ニセコHANAZONOリゾート、デロイトトーマツ、木ニセコ、ニセード、MnKニセコ、エクスプロア・ニセコ、フレッシュパウダー・ニセコ、シレーニ・エステート、エヴィアン、サンクチュアリー・ニセコ、ニセコプロモーションボード、リングプロジェクト、スカイバス、坐忘林、雪華、スキージャパン・ドットコム、ザ・ヴェール・ニセコ、ニセコ町、ザ・ニセコ・カンパニー、吹雪、ザ・バーン、四季ニセコ、ウエスト・カナダ・ホームズ、アルペン・リッジ、ザ・ニセコ・サプライカンパニー、オージービーフ、株式会社双葉工業社、株式会社中山組、岩田地崎建設株式会社、清水建設株式会社
TEL:0136-21-2551
観覧無料
http://cowparadeniseko.com

Text: Aya Shomura

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