オノ・ヨーコ展「ワン・ウーマン・ショー 1960-1971」

HAPPENINGText: Antoine Revoy

衝撃的デビューから44年、オノ・ヨーコがニューヨーク近代美術館(以下、MoMA)に帰ってきた。MoMAにて、フィルム、音楽、パフォーミング・コンセプチュアルアートなどの代表作とともに彼女の回顧展「オノ・ヨーコ:ワン・ウーマン・ショー、1960-1971」が開催されている。

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“Yoko Ono: One Woman Show”, 2015

彼女のMoMAでの初めての個展「Museum of Modern [F]art」は非公式で開催され、来場者に館内に放たれたハエを捕まえてもらう体験型アートを実施するなど規模も最小限であったが、今回の回顧展は1960年から1971年の数々の前衛的な作品のほか、2015年の新作もあわせた総集編となっている。来場者がオノのアートやその考え方を学び、鑑賞するだけではなく実際にアートを体験することができる内容となっている。

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“Bag Piece”, 1966, Yoko Ono, reenacted by an anonymous visitor

MoMAの最上階に設置された本展は、来場者を鑑賞者としてではなく、アーティストとしてアートの世界へ誘う。展示作品のひとつ、1964年のパフォーマンス「バッグ・ピース」は、来場者に実際にアクターとなって演じてもらうのが目的だ。黒いバッグで自らを覆い通りゆく人々を見つめるという行為は鑑賞者という立場を超越し、真のアーティスト、パフォーマーという感覚を味わうことができる。

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“Eyeblink”, 1966, Yoko Ono

また、視覚、聴覚、触覚などのあらゆる感覚が刺激されるのもこの個展の魅力である。様々な体験型フィルム作品はテレビモニターや館内の壁に映し出されている。16ミリフィルムに高フレームレートで撮られた1966年の「アイブリンク」はオノ自身の瞬きを拡大して、静止に近い状態でスロー再生している。1970年に制作された「フライ」は裸の女性の周りを飛び回る大量の虫を撮影し、女性の体に対する性的モノ化をフェミニズムの視点から訴えている。

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