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「レス・イズ・モア」展 オーストラリアにおけるミニマル/ポストミニマル・アート

HAPPENINGText: Joanna Kawecki

アートにおけるミニマリズムとは、近年のアートや流行とは対照的に、究極にシンプルなものとして捉えられる。それは表現と観察の進行形のようであり、複雑で非常にわかりにくい考え方への挑戦でもある。人工物のつなぎ合わせによる幾何学的な形という特徴が今日まで続いており、表面的な文脈の過剰分析の再評価といったものも反映している。

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monument to V. Tatlin, 1966-69, fluorescent tubes, 274.5 x 71 x 11.3 cm, National Gallery of Australia, Canberra Purchased 1978, © DanFlavin/ARS, Licensed by Viscopy 2012

レス・イズ・モア」は、1960年代のシドニーやメルボルンを中心にメディアを通したミニマル・ムーブメントを発展させたオーストラリアの若手アーティスト達の作品に焦点を当てた展覧会だ。ロバータ・ジャックス、ミケイラ・ドワイアー、ニゲル・レンドン、エリザベス・ガワーを含む、アメリカからインスピレーションを受け、もともとこの活動の最前線にいた30人以上のオーストラリアのアーティストたちの作品が展開された。

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彼らの動画、絵画、彫刻や光を使った作品からは、アメリカのミニマリストのダン・フレイヴィン、ドナルド・ジャッド、ロバート・モリスの作品の影響がいたるところに見受けられる。抽象画や彫刻には、無駄なものを省いたり一部分を用いるような、また還元的で縮小的なミニマリズムやポストミニマリズムに影響されている。レス・イズ・モアは、オーストラリアのアーティストエリザベス・ガワーが表現した「煩雑な日常生活のアンチテーゼのようだ」という言葉で要約される。

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おもしろいことに、展示会でのアート作品の配置というのは、アート作品自体と同じくらい革新的なものである。例えばハイド近代美術館のメインギャラリースペースでは、観客はダン・フレイヴィンの「monument to V. Tatlin 1966-1969」という蛍光灯、またソル・ルウィット、ブルース・ナウマンのオリジナルの作品の視覚的な見せ方に魅了される。

ハイド近代美術館の美しい会場に、オーストラリアのアーティスト達に影響を与えた重要な時代の作品を多く展示した「レス・イズ・モア展」は見逃すことができない。

「レス・イズ・モア」展
オーストラリアにおけるミニマル/ポストミニマル・アート

会期:2012年8月3日~11月4日
時間:10:00~17:00(日曜休館)
会場:ハイド近代美術館
住所:7 Templestowe Road, Bulleen, Australia
TEL:+61 3 9850 1500
https://www.heide.com.au

Text: Joanna Kawecki
Translation: Hanae Watanabe

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