米澤卓也

PEOPLEText: Aya Shomura

yonezawa油絵具とアクリル絵具を使った絵画作品を制作する米澤卓也氏。その作品は、モチーフをリアルに描いた平面でありながら、時に擬人化された声無きモチーフの悲しみやおかしみを、あくまでもポップにすくい取る。近年は、ライジングサン・ロック・フェスティバル(以下、RSR)やアートフェア札幌 2014でのライブドローイングを行なうなど、活動の幅も広がっている。そんな米澤氏に、現在クロスホテル札幌で開催中の個展「プリズム」や、昨年から制作を始めたという「プリズム」「スティル・ライフ」シリーズについてなど、色々と話を聞いた。

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Photo: 小牧寿里

まず初めに、自己紹介をお願いします。

北海道の天塩町に住んでいます、米澤と言います。よろしくお願いします。
天塩町は稚内のちょっと下辺りにあって、そこで絵を描きながら中学校の教員をして生活しています。

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「PRISM」Takuya Yonezawa, 2014/2015年, 個展「PRISM」, クロスホテル札幌, Acrylic on Panel Photo: 小牧寿里

美術を専攻した理由、作家活動を始めたきっかけなどを教えて下さい。

美術を始めた最初の理由はドラゴンボールです。小さい頃に近所の友達のお兄さんが、ドラゴンボールのキャラクターを描くのがとても上手で、自分も描けるようになりたい!と憧れを抱いて描き始めました。それからは、ずっと絵を描いています。高校生の頃に油絵具と出会い、大学2年でアクリル絵具を使い始めました。大学3年の冬に初めて個展を開き、他者に見せること、楽しませることの面白さを感じました。以後、ギャラリーを始め様々な場所で展示活動を行っています。

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「米澤卓也ライブ・ドローイング」Takuya Yonezawa, 「アートフェア札幌 2014 特別企画」, クロスホテル札幌 13階(階段室壁面), 2014年 Photo: 小牧寿里

RSRでもそうですが、昨年のアートフェア札幌 2014でのライブドローイングも人気が高かったですね。「チキチキボーン」や「アボカドの種」などちょっと変わった題材でしたが、それぞれのコンセプトを教えて下さい。

僕はエンターテインメントがしたいと思っています。見ている間はその人に一瞬でも時間を忘れて楽しんでもらいたいので、そのために非日常を提供できる作品作りを目指しています。モチーフを考えるときは、架空のストーリーを自分の中で設定してその一部分を切り取るイメージで制作しています。RSRには架空の物語があって、その中のワンシーンをトリミングしました。アートフェア札幌では架空のギャラリーが出来るまでを描きました。プレビューの時にギャラリストの方が楽しそうに話しているのを見て、自分も架空のギャラリーのオーナーになろうと思ったのがきっかけでした。

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「米澤卓也ライブ・ドローイング」Takuya Yonezawa, 「ライジングサン・ロック・フェスティバル 2014」, アーステントエリア(石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ), 2014年

制作過程を見せるライブドローイングは米澤さんにとってどういう位置付けで、どのような意味を持つものでしょうか?

ライブドローイングは制作の過程も含めて作品という意味で特殊です。本格的に行ったのは3度程ですが制作の過程で鑑賞者がワクワクしたり、何かを考えられるような仕掛けは必ず意識するようにしています。

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「Day Tripper」Takuya Yonezawa, 2012年, 600 x 600 mm, Oil and Acrylic on Panel

「日々の生活の中で感じる楽しいこと、面白いことを伝えることに興味がある。また自らの作品で鑑賞者に非日常的体験を共有できる空間づくりを目指している」と作家ステートメントにありますが、具体的にどのようにアイディアを形にしているのですか?

日常のふとした時に感じた非日常感を切り取って作品にすることが多いです。例えば、赤い車にアブが止まっていて、それを見たときに「デイ・トリッパー」を思いついたり、食事中のチキチキボーンが高橋由一の「鮭」とリンクしたり。ただ、その感覚を作品にする時に「非日常だぞ!」と鑑賞者に押し付けることが無いように気をつけています。入り口は常に軽い必要があると感じます。

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「Still Life」Takuya Yonezawa, 2014年, 個展「PRISM」, クロスホテル札幌, 1,300 x 1,600 mm, Oil on Canvas Photo: 小牧寿里

静物画の「スティル・ライフ」シリーズについて教えて下さい。

今回ホテルで展示している「スティル・ライフ」に描かれている果物は全て偽物です。この作品シリーズは美術準備室にあった、長年使われていないプラスチック製の洋梨のモチーフを発見した時に思いつきました。視線を向けられることのないモノの「訴え」のようなものを感じてそれを可視化するためにどのような手法が適しているかを考えたところ、集中線を入れるという発想に至りました。

静物画のモチーフでありながら、スティル・ライフ(=生と死)ということにフォーカスしているようにも感じます。

生と死というテーマに関しては特に意識していません。僕にとって大切なのは、自分の作品によってどう楽しんでもらうか、自分の感覚を追体験してもらえるかで、作品はそのための装置だと思っています。作品が鑑賞者の記憶とリンクして様々なイメージを呼び起こすことができればと思います。

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「appeals」Takuya Yonezawa, 個展「PRISM」, クロスホテル札幌, 2015年, 1,200 x 2,000 mm, Acrylic on Panel Photo: 小牧寿里

今回の個展タイトルでもある「プリズム」シリーズは昨年から制作しているそうですね。インパクトのある集中線効果もあって、これまでの作風とはガラリと変わった印象を受けます。具体的にはどのような想いが込められたシリーズなのでしょうか?

「プリズム」シリーズは一枚一枚の絵に特別な設定はなく、鑑賞する方々の想像の余白が広い作品です。「スティル・ライフ」シリーズの延長線上に位置する作品で、何かを見た時に(別に大したものではないけれど)個人的に異様な輝きを放つ瞬間というのがあって、それを目に見える形にしたいと思って始めました。なんとか具現化ができないかなと思っていた時にRSRのライブドローイングがあって。マスキングテープを使用した制作を行ったのですが、絵の具のマチエールの面白さに惹かれたのもあって制作に至りました。

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「PRISM」Takuya Yonezawa, 個展「PRISM」, クロスホテル札幌, 2015年, 1,400 x 1,000 mm, Acrylic on Panel Photo: 小牧寿里

「プリズム」シリーズ制作には、これまでと異なる技法や手法を用いていらっしゃいますか?

制作方法で変わったことといえばマスキングテープを大量に使うようになったことです。今回、クロスホテル札幌2階のミート・ラウンジで飾らせて頂いた、大きな「プリズム」作品も色と色との分かれ目はマスキングテープで区切って作っています。はみ出しを気にする必要がないので、大胆でビビットな色感が得られます。色面構成のイメージは最初からガッチリ固めていたわけではなく、一つの色を塗ってから次の色を決めているので、最後までどうなるかわかりませんでした。

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「PRISM」Takuya Yonezawa, 個展「PRISM」, クロスホテル札幌, 2015年, 1,200 x 2,000 mm, Acrylic on Panel Photo: 小牧寿里

2015年は年明けから展覧会が続いていてお忙しいですね。今後の目標についてお聞かせ下さい。

去年の暮れから展示が忙しくなり、2月には個展が3つ重なりました。正直、経験したことのない忙しさでびっくりしました。今後も制作を続けていきますが、とにかく一つ一つの作品のクオリティの向上を目指します。自分のイメージと作品との間にある差をできるだけ縮めていきたいです。

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左から「TUMLOW」「AVELA」「ZALY」「CELVO」Takuya Yonezawa, 個展「PRISM」, クロスホテル札幌, 2015年, 727 x 530 mm , Acrylic on Panel Photo: 小牧寿里

最後にSHIFT読者へメッセージをお願いします。

最後まで見て頂き、ありがとうございました。

MACHINAKA ART-X_edition vol.15
米澤卓也 個展「PRISM」

会期:2015年3月1日(日)~5月31日(日)
会場:クロスホテル札幌
住所:札幌市中央区北2西2
主催:クロスホテル札幌(企画部 011-272-0051)
キュレーション:クラークギャラリー+SHIFT
協力:ハナアグラまちなかアート
http://crossmet.jp/sapporo

Text: Aya Shomura

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