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アイ・ウェイウェイ展「エビデンス」

HAPPENINGText: Kiyohide Hayashi

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Diaoyu Islands (Diaoyu-Inseln), 2014, Marmor, © Ai Weiwei. Foto © Mathias Völzke

こうしたアイ・ウェイウェイの中国政府への批判は留まることをしらない。作品「4851」では、テレビのモニターが置かれおり、中国語の文字を次々と映し出している。画面に映し出されるのは学生や児童一人一人の名前。2008年中国の四川省で大規模な地震が起きた。そこでは手抜き工事による学校の建物が崩れ落ち、多数の学生や児童が亡くなったという。だが中国政府は正式な死傷者数を発表することはなく、建築物を監督する責任を誤魔化したとさえ言われている。彼は地震で亡くなった人々を記憶に残すために確認を行い、その名前を記録に残しているのだ。これは死者に哀悼するだけでなく責任逃れを行なう政府の批判とも言えるだろう。

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Souvenir from Shanghai (Souvenir aus Shanghai), 2014, Beton- und Ziegelsteinschutt aus Ai Weiweis zerstörtem Atelier in Shanghai in einem Holzrahmen, 380 × 170 × 260 cm, © Ai Weiwei. Foto © Mathias Völzke

自らの不条理な体験を見せる作品や地震の被害を伝える作品が感じさせるのは、多くの問題を抱える中国政府への批判。こうした姿勢は中国からの出国が不可能となり、政府による監視下にある現在でも変わることはない。政府批判を抑え込もうとする圧力にも関わらず、彼は作品制作を続けているのだ。だからこそ人々は彼を表現の自由のために戦うアーティストとして見なしている。実際に多くのメディアも彼をこの枠組みの中で取り上げる。彼の展示や作品に附随するのは中国政府。いまや彼の作品は、それ抜きにして語れないほどになってしまった。だが作品や展示を取り巻く論調とは異なり、展示作品には中国政府を感じさせないものも含まれている。

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Han Dynasty Vases with Auto Paint (Han-Dynastie-Vasen mit Autolack), 2014,
Vasen aus der Han-Dynastie (202 v. Chr. – 220 n. Chr.) und Autolack, © Ai Weiwei. Foto © Mathias Völzke

会場には幾つかの壺が並んでいる。それは作品「ハン・ダイナスティ・ベーシス・ウィズ・オート・ペイント」に使用されている壷で、かつて紀元前200年頃から紀元後200年頃まで中国大陸を支配した漢時代のもの。今から2000年ほど前の歴史的に貴重な壺だが、アイ・ウェイウェイはそれらを現代の工業塗料で塗装している。車に使用される塗料で塗られた壺はメタリックな色に輝き、まるで現代の大量生産の製品のように見えるだろう。形にそぐわない色は壷が本来持つ歴史的な価値を覆い隠してしまっている。壺自体の形は変わらなくとも、見かけによって印象は大きく変わってしまったのだ。このような作品から中国政府を感じさせる要素を見つけ出すのは簡単ではない。

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