第23回ストックホルム国際映画祭では、50カ国以上から集められた170以上の映画が上映されることとなった。最高栄誉であるブロンズ・ホース賞はヨーロッパ中の憧れの賞として確立されている。映画祭にはまだ３本以上の長編映画を撮っていない映画監督のみエントリーすることができる。

今年新しく設立された「ストックホルム功労賞」には、アメリカの映画俳優ウィレム・デフォーが選ばれた。また、他の２つのブロンズホースに関しては、「ストックホルム・ビジョナリー賞」はフランス人監督ジャック・オディアール、「ストックホルム生涯功労賞」はスウェーデンの映画監督ヤン・トロエルに贈られた。今年のトップ審査員はスルジャン・ドラゴエヴィッチ、マリン・クレパン、カロリナ・ランクビスト、アンナ・クローヌマン、若手アメリカ人監督のアントニオ・カンポスの他、映画界の伝説ピーター·フォンダから構成されていた。

結果は次のようになった。最優秀作品賞：「ロア」監督ケイト・ショートランド、新人監督賞：ベン・ツァイトリン、「ビースツ・オブ・ザ・サザン・ワイルド」、脚本賞：アンドリュー・ドミニク「キリング・ゼム・ソフトリー」、最優秀女優賞：サスキア・ローゼンダール「ロア」、最優秀男優賞：ティム·ロス「ブロークン」。それに加えて、「コールガール」という、オロフ・パルメ時代のスウェーデンの政治家が巻き込まれた性的汚職事件に迫ったこの作品は、この年の最も興味深いスウェーデン映画として観客賞を受賞した。

私たちは午前中に、アメリカの俳優ウィレム・デフォーに会った。オバマ大統領の再選の話から、彼の最近の仕事について雑談が始まった。「一瞬でスクリーンを見ている人々に催眠術をかける力を持っている、世界で最もマルチな俳優の一人ウィレム・デフォー。キリストの役を演じたと思えば、アンチクライストという映画にも出演してしまう。彼は、限界を越えた役作りをしている 」として功労賞を受賞。
彼はちょうど、二つのフィルム、ジョン・ル・カレの小説を基にした「ア・モスト・ウォンテッド・マン」と、映画監督アントン・コルビンとラース・フォン・トリアーによるエロチックな作品「 ニンフォマニアック」の撮影にために訪れていたドイツから帰ってきたばかりだった。

Beasts of the Southern Wild Official Trailer (2012)

観客から最も評価の高かった作品の一つが（最終的には新人監督賞を受賞した）「ビースツ・オブ・ザ・サザン・ワイルド」（2012）だ。映画は気候災害に見舞われた南部ルイジアナ州の水没したコミュニティが舞台となった、不屈の心を持つ６歳の女の子の物語。
我々は、監督のベン・ツァイトリンと話をする機会があり、選挙活動期間中にオバマ氏のボランティアからスカウトしたアマチュア俳優を起用した彼の最初の作品について話を聞くことができた。実は、彼はたまたま、オバマ大統領家族のお気に入りだったようだ。