谷川俊太郎 + 谷川賢作「オタルコラージュ」
HAPPENINGText: Mariko Takei
前日の雨模様から一転、真夏のような暑さを伴う晴天となった6月25日の小樽。その街を代表するスポットの小樽運河沿いに建つ小樽倉庫No.1では、詩と音楽の夜会「オタルコラージュ」が開催された。現代詩のパイオニアとして世界的に著名な詩人の谷川俊太郎と、ご子息でありピアニストでもある谷川賢作を招いた、現代詩、音楽、ダンスのコラボレーションライブだ。
© 上嶋秀俊、PIRKAMUSIC
「オタルコラージュ」というタイトルは、去年リリースされた谷川俊太郎氏の長編詩集「トロムソコラージュ」(新潮社)に由来している。俊太郎氏が訪れたノルウェーの街「トロムソ」で誕生したというその表題作「トロムソコラージュ」だが、今回の詩と音楽とダンスのコラボレーションイベントが、文字通り“小樽でコラージュ”されることにも因んで、「オタルコラージュ」と名付けられた。
今回、谷川俊太郎氏による詩の朗読と、谷川賢作氏のピアノと一緒にコラージュを繰り広げたのは北海道を拠点に活躍する4名のミュージシャンやダンサー達だ。コントラバスにベーシストの飯田雅春、ラップトップ、フルート、パーカッションを担当したクニユキ・タカハシ、ダンスは舞踏家の田仲ハル、DJにナオヒト・ウチヤマという面々が出演した。
ライブの開演前には、ナオヒト・ウチヤマのDJによるアンビエントサウンドが会場を包み込む。そして開演と共に照明を落としたステージに、最初に登場した賢作氏のピアノ演奏に続き、飯田氏のコントラバスの演奏が折り重なる。更に、クニユキ・タカハシによるエレクトロニカなサウンドが混ざり合い、海の底のような神秘的な空間が広がった。そこへ谷川俊太郎氏が登場。『私は立ち止まらないよ』というセンテンスから始まる長編詩「トロムソコラージュ」の朗読が始まった。
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