ディエゴ・フレ

PEOPLEText: Shotaro Okada

スイス出身で、現在はパリと自国を行き来しながら活動を行っているグラフィック・デザイナー、ディエゴ・フレ。彼がシテ・ユニヴェルシテール(大学都市)のスイス館に滞在している時に知り合い、それ以降、何回か顔を合わせる仲になった。初めて彼の作品を見た時の、シンプルでありながらもユーモアがあるグラフィック、色やフォント使いの品の良さに感銘を受けたのを覚えている。今回のインタビューでは、2011年スイス館で行なった、モダン建築の巨匠コルビュジェにオマージュを捧げたインスタレーションや、最近の活動について話を聞いた。

ディエゴ・フレ

彼がパリに移住したのは、スイスのバーニュ美術館で行なった「エデン・ロック」という展示と刊行物が高く評価され、パリのアーティスト・イン・レジデンスとして招かれたことがきっかけである。

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Eden Roc © Diego Fellay

「エデン・ロック」とは、スイスではよく知られた名前。この名前のコテージやホテル、住宅が、スイスの街や山々のあちこちにあるらしい。この名前を付けた理由は、展覧会のテーマが、スイス人に馴染み深い「山」を現代的なアプローチで捉えたものであったから。彼の前に、同じ美術館で、山の歴史を扱った展覧会があったこともあり、彼なりの再解釈を試みたといえる。アプローチの仕方はちょっとしたウィットに富んでおり、自然を扱ったドキュメンタリーというよりは、山をイメージした写真や言葉が、抽象的に繋がっていくような印象を受ける。例えば、僕自身知らなかったが、山暮らしを続けるにあたって、塩分が不足して気が狂ってしまう人々がいるという。その事柄を写真でうっすらと印象づけたり、この症状に陥る人々のドキュメンタリーを撮ったリュック・ムレのインタビューを収録している。リュックは、ゴダールと交流のある映像作家である。

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Eden Roc © Diego Fellay

さらに、刊行物のフォントは「Simplon BP」でまとめられている。このフォントのサンプロンとは、スイス山岳部の街の名前だというから、仕掛けの細かさには驚くばかりだ。

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Wall of Tomorrow © Diego Fellay

そして、彼がスイス館に滞在時に行なったのが「ウォール・オブ・トゥモロー」というプロジェクトである。コルビュジェが全てを手掛け、1933年に建設されたこの建物は、パリではよく知られた名所でもある。しかしながら事情により、1階に位置するサロンの壁画は、1947年に取り壊されてしまった。そこで、ディエゴは、当時の資料をもとに、かつて存在していた壁画をリデザインすべく、イラストレーターや写真家を招聘し、6枚のポスターにまとめあげサロンの壁一面に貼付けた。セピア色のマーブル模様のようなポスターは視覚に強い印象を受ける。もともとのコルビュジェの壁画は先鋭的なものであったという。彼のポスターを見て、当時へのイメージに想いを馳せた。

そして、インタビュー時、彼が最も熱く取り組んでいると述べたのが、2014年に開催予定の「メイド・イン」というイベントの準備であった。これはスイスで、自国のモダン・デザインを新旧交えて紹介する大掛かりなもの。期間中にはパビリオンを設け、デザインにまつわる会議やイベントを多く開催する。また、中国人デザイナーをレジデンスに招き入れることによって、国際的な交流も図るという。彼に一任されたポジションは大きく、今後の活躍がとても楽しみだ。

Text: Shotaro Okada
Photos: Shotaro Okada

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