鈴木涼子

PEOPLEText: Ayaka Sato

北海道出身のアーティスト、鈴木涼子は国内はもとより海外でも人気を博している。彼女の描く作品には、どこか、見ている我々が本来の自身と向き合い見つめ直すという意識や、ヒューマニズムを感じる事ができる。
そうした今までの発信してきた様々なシリーズを併せ、新たなものとして今回札幌から発信していく、北海道では6年振りとなる個展がCAI02で開催された。新作への思いを含め話を伺った。

鈴木涼子

自己紹介をお願い致します。

鈴木涼子。1970年、札幌出身のアーティストです。
現在は主に写真をメディアとしてますが、「写真家」ではなく一人の「美術家」だと思っています。ジェンダーやセクシャリティをテーマに、自意識や人間存在、その欲望などに焦点をあてた作品を発表しています。

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私は © Ryoko Suzuki

今回のCAI02企画展である鈴木涼子個展「Magnolia-マグノリア-」のテーマについてお伺いできますか?

「私」の存在や定義、認識についてです。
長い間、人間が考え続けてきたとても根源的なテーマですが、作られた形式の中で捉えられて来た曖昧な「私」をあえて自意識を解放する事によってより実存的に再考しようとしています。
タイトルの「私は」とは、「私」が一歩進んで動き出し、表現しようとしている状態を表しています。

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私は © Ryoko Suzuki

新作を作るにあたって新たに影響を受けたものはありますか?

日々の暮らしの中や、ニュースなど、身の回りにあるすべての事から常に影響や刺激を受けていますが、やはり今回の新作で一番大きな影響は、2007年から2008年の一年間、文化庁の芸術家在外研修でドイツに滞在していた事があげられると思います。

その後日本に帰ってきて、私の回りの人間関係や、自分の立ち位置も変化している事に気がつきました。3月の東日本大震災でも、姉が仙台に住んでいた為、様子を見に行きたくても行けないという絶望的な状況を味わい、人間について、社会について、家族について、再考などという言葉で表現したくないほどの影響を受けたと思います。

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ANIKORA-Kawaii © Ryoko Suzuki

6年ぶりの札幌での本展ですが、6年間に大きく変化した所はありますか?

先ほどの回答の中にも出て来ましたが、経済も政治も、また震災後の人々の考え方も、本当に大きな変化が起こっていると思います。私は2008年にバーゼルアートフェアーに参加しているのですが、この時には溢れ出たオイルマネーがアートの世界に流れ込んでいて、ものすごい熱気を感じましたが、わずか数ヶ月後にリーマンショックが起きました。でも、6年前の個展でテーマにしていた、無垢の子供達が、社会や大人に虐待を受けたり、型にはめられている事への警鐘は結局現在も繰り替えし続いています。

札幌の街の変化は、美術の世界においてここ数年、新しい動きが始まる予感の様な「ナニカ」があると思います。

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ANIKORA-Kawaii © Ryoko Suzuki

鑑賞者へメッセージをお願い致します。

私の作品は、少しショッキングに感じられたり、不快な感情をもたらすかもしてません。けれども、美術の存在価値の一つに、鑑賞する人の気持ちを揺すぶったり、考えてもらう事があると思います。ですので、今回の作品を鑑賞して、「女/男らしさ」「美しさ」「見る/見られる」事など、自分の基準や、今まで漠然と捉えて来た曖昧さと向かい合っていただけたら、と思います。

最後に今後の活動についてお聞かせ下さい。

今年の11月18日から12月17日まで東京は京橋のツァイト・フォト・サロンにてこのシリーズの個展が始まります。また来年は、オーストラリアで展覧会の予定をしています。

鈴木涼子個展「Magnolia-マグノリア―」
会期:2011年10月1日〜29日(日曜、祝日休廊)
開廊時間:13:00~23:00
会場:CAI02 raum1
住所:札幌市中央区大通西5丁目昭和ビルB2
TEL:011-802-6438
主催:CAI現代芸術研究所
協力:ツァイト・フォト・サロン/RAM(R Art Management)
ゲストキュレーター:穂積利明(北海道立近代美術館学芸員)
連携企画:札幌ビエンナーレ・プレ企画2011
http://www.cai-net.jp

鈴木涼子写真展「私は」
会期:2011年11月18日〜12月17日(日・月・祝日休廊)
開廊時間:10:30〜18:30(土曜日17:30まで)
会場:ツァイト・フォト・サロン
住所:東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F
TEL:03-3535-7188
http://www.zeit-foto.com

Text: Ayaka Sato

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