CAI 02
PLACEText: Yurie Hatano
札幌で最も多くの人が行き交う中心エリア、大通西5丁目。それも地下鉄大通駅1番出口直結という、とてもアクセス便利なビルの地下に、新しい創造の発信地が登場した。円山にギャラリーを構え、国内外のアートの企画展示や文化事業、アートスクールの運営などを行っているCAI現代芸術研究所の2つ目のギャラリー「CAI 02」である。
東京オリンピックが開催された年に着工されたという昭和ビルの地下にたどり着けば、そこに立ち並ぶのは居酒屋をはじめとする数々の飲食店。本当にこの場所にギャラリーが?という疑いを持ちながら、美味しい匂いの立ちこめるフロアをぐるぐるまわると、地下二階「CAI 02」への白い入り口が見つかる。
『ねずみが一点を見つめるだけで、世界が劇的に変化するなんて信じられない!』
『我々が夜空の月を眺めていないとき、月は存在するのか?』
白地に浮かぶ言葉に迎えられ、昭和ビルの異空間へ。
左右に分かれたギャラリースペース。左手「raum1」を覗くと、コンクリート剥き出しの壁とフロアが、圧倒的な存在感でありながら展示作品を引き立てる。ビル建設当時の痕跡がそのまま残されており、ちょっと油断をすれば躓くまでに荒々しい。
右手「raum2」「raum3」は、同様の剥き出しスペースに白壁が打ちつけられており、「raum1」の重厚な雰囲気とはまた一味違った印象。フロアの荒々しさと白壁のコントラストがおもしろい。
さらに奥では、カフェも運営されている。全長10メートルに及ぶカウンターは、鉄で制作されたもの。カウンターに座れば、向かった壁も同じく剥き出しのコンクリート。一人でも複数でもとても落ち着ける雰囲気の中、作品鑑賞後の喉を潤すことができる。もちろん仕事帰りの一杯を目的に立ち寄るのもいいだろう。ギャラリーとは同じ空間でありながら、展示作品を背に独立した形であることも特徴だ。
遅い時間帯からでもゆっくりと立ち寄れる13時〜23時という営業時間もまた、この地に新しい。より様々な人がより自由に集える場として、ここから発信される札幌の新たな創造に期待したい。
現在は、オープニング展として「サッポロ・アート展」が6月21日まで行われており、CAI代表であり、このギャラリーの空間プロデュースも手がけた端聡氏を初め、札幌のアーティスト18組による作品が展示されている。
CAI 02
営業時間:13:00〜23:00(日・祝日休廊)
住所:札幌市中央区大通西5丁目 昭和ビル地下2階
TEL:011-802-6438
https://cai-net.jp
Text: Yurie Hatano
Photos: Yurie Hatano