第18回 カンヌ国際ダンスフェスティバル

HAPPENINGText: Wakana Kawahito

映画祭で有名なフランスのカンヌにて、11月22日から27日までの5日間、第18回となるカンヌ国際ダンスフェスティバルが開催された。芸術監督のフレデリック・フラマンドが設定したテーマは「新しい神話」。「身体の神話」「イメージの神話」「技術の神話」の3つを軸として、このハイテクノロジーの時代における、身体についての疑問を投げかけた。そして、これは2011年だけではなく2013年のフェスティバルでも同じテーマが引き継がれる。

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‘Moving Target’ Ballet National de Marseille © Olivier Houeix

フェスティバルに参加しているカンパニー・振付家の神話に対するアプローチは様々だ。バレエを現代風にアレンジしたティエリ・ティウ・ニアンカンパニー・エディ・マーレム、バレエの技術面をこの上なく追求したラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスはフランスで初めてとなる「新作」を公演。

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‘New Work’ LA LA LA Human Steps © Olivier Houeix

カンパニー設立30周年を記念したこの作品は、光と陰のコントラスト、そこに浮かび上がるシルエット、身体を美しく見せる方法が考え尽くされている。もちろん、ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスの持ち味であるテクニックも十分に披露された。

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‘Orphée’ Compagnie Montalvo-Hervieu © Olivier Houeix

当然なのだが、全体的に見ると、今回のテーマに沿った、映像とダンスの融合を得意とするグループが中心に選ばれている。バロック風のカンパニー・モンタルヴォ・エルヴュ、ロック調のマイケル・クラーク・カンパニー、フラメンコのアンドレ・マーティンなど、音楽やダンスのジャンルはボーダレスであるが、いずれも映像を使いながら、身体とのシンクロを楽しむ作品だ。

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‘Holistic Strata’ Hiroaki Umeda © Olivier Houeix

そういう意味では、日本人ダンサー・振付家である梅田宏明の作品は、すでにダンスという枠を超えている。特に「HOLISTIC STRATA」は、技術が身体を飲み込んでくるような錯覚に陥る瞬間がある。

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