ユダヤ芸術歴史博物館コレクション展

HAPPENINGText: Shotaro Okada

日本でほぼ見かけることはないが、パリでは黒のシルクハットを被り、白いシャツ、黒のスーツを着た人達を多く見かける。彼らがユダヤ教徒であることを知り、頭にユダヤ人を意識するようになったのは、ここに着いて間もなくしてからだった。
移民の街でもあるパリ。日本人はオペラ界隈、中国人はベルヴィル周辺と13区といったように、人種によってコミュニティが成されている。今回、ユダヤ人コミュニティの3区にあるユダヤ芸術歴史博物館にて開催されているコレクション展に足を運んだ。

ユダヤ芸術歴史博物館コレクション展

この美術館は名前の通り、フランスにおけるユダヤ人の歴史を、彼らの装飾や芸術を通し、時代の流れに沿って知ることのできる美術館である。当初、この展覧会は、美術館が所蔵する現代アートを展示するという、当たり障りのないものだと思っていたが、実際は非常に文脈の深いものであった。

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例えば、入口付近にあるヘブライ語の石碑と共に、セルジュ・ラスクによるヘブライ語を用いた「Kaddish(祈祷)」というインスタレーションが飾られている。ユダヤのルーツであり、日常的に使われることのなくなった言語がコラージュされることによって、時の隔たりが交わってゆく。

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また、写真家ディディエ・ベン・ルウルウによる、フランスに住むユダヤ人のドキュメンタリー写真が、ところどころに展示されている。これらは被写体のバイオグラフィーと共に置かれ、この地に暮らす彼らのバックグラウンドを仔細に知ることができる。なかでも、ユダヤの指輪と共に展示され、自らもユダヤの指輪を身に着け、タバコを吸う女性の写真が印象的であった。このように展示されなければ、彼女の背景を考えることもなかったであろう。

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そして、ソフィ・カルによる写真とテキストのインスタレーションのコーナーは、一見してコンセプチュアルアートを彷彿とさせるが、実際の被写体は「Eruv(結界)」と呼ばれるユダヤ教の塔であり、厳しい戒律が無効化されるテリトリーを現すものである。エルサレムにある結界の写真を背景に、机上には彼女自身が行なったユダヤ人へのインタビューが置かれていた。

以上のように、現代アートを通して、フランスにおけるユダヤの歴史が再定義されていたため、非常に興味深かった。
歴史的な文献やオブジェと共に、それらと関連のあるアートが置かれ、相互に補完している。
ユダヤの歴史だけでなく、アートの貴重な側面に触れることもできる展覧会である。

他に、クリスチャン・ボルタンスキー、カデール・アティア、アン・ヴァレリー・アッシュなどの作品も観ることができる。

ユダヤ芸術歴史博物館コレクション展
会期:2011年7月3日~9月11日(土曜日休館)
時間:11:00〜18:00(日曜 10:00から)
会場:Musée d’Art et d’Histoire du Judaïsme
住所:71, rue du Temple, 75003 Paris
入場料:一般6.8€
TEL:+33 (0)1 53 01 86 65
http://www.mahj.org

Text: Shotaro Okada
Photos: Shotaro Okada

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