ザーネ・メルペ

PEOPLEText: Hiromi Nomoto

密かに人々を驚かせ続けるアーティスト・キュレーターのザーネ・メルペ、彼女の「In memory of the perfect wife」展がイファ・ギャラリーで始まった。歴史ある西洋建築のイファ・ギャラリーを全館使い、キッチンやベッドルームといったテーマごとに作品を分け、展示をしている。ステージバック・ギャラリーの展示「LOST & FOUND」と同日にオープニングが行われた。二カ所を行き来する専用の車があり、観客たちは二つのオープニングに参加した。

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上海でアーティストとして、そしてキュレーターとして、更には一般庶民が住むごく普通の平凡な通りにアートスペースをつくり出したヨンカンルー・アートのディレクターとして活躍するザーネ・メルペに話を伺った。

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初めての個展『In memory of the perfect wife』、おめでとうございます。とてもユニークなタイトルですね。

今回の展示はイファ・ギャラリーのディレクターであるアレクシスの申し出で行うことができました。彼に感謝しています。

タイトルについて、第一に私はユーモアが好きです。もう1つは、小さい頃の思い出にあります。ある期間、祖母と一緒に生活をしていました。そのとき祖母からいろいろ教えて貰いました。当時、あるコンテストがありました。それは良い奥さんコンテストです。私自身は家庭に入る人間ではありませんが。

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編み物の作品を率直に美しいと思いました。展示について紹介をして下さい。

編み物は祖母が教えてくれました。長い間編み物をしなかったのですが、始めてみるとできるものです。素材は電線です。とてもシンプルです。

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キッチンのこのシリーズは私が今発展させているものです。魚や肉の写真を撮り、そのネガを焼き、プリントします。例えば皿の写真を撮り、その写真を皿に戻します。昔の話ですが、人の写真を撮ると、その人は心を奪われると考えられていました。私はモノの写真を撮り、それをまたモノに返すということをしています。

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ベッドルームの作品は全て歪んでいます。私は人がどう考えるかを考えるのが好きだからです。自分がどう考えるかも考えます。物事に対する態度の変化を見たいのです。以前起こった事柄は、時間が経過してから考えるほど違うものになります。

展示のオープニングで、ある女性が裸のような格好でいたことにあなたは気付きましたか?5種類の衣装を用意しました。ほとんどの人は意識していなかったと思います。今回の展示で、私自身を撮影した作品があります。裸のものもあります。そこには感情があります。

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作品はあなたの背景とどのように関わっているのですか?

以前、私の小さい頃に起こったことが関わっています。あなたはどうして今嬉しいと感じるのだと思いますか?それは小さいときの嬉しいこと、それをまた意識するからです。例えば、私がなぜ緑色が好きなのか。緑を見たときにそれを心地良いと感じます。それは幼い頃に、祖母が緑の服を着せてくれたから。心地良く、誰かが緑の服を着ていると親しみを覚えます。これらは自分がどう考えるかなのです。私は記憶の中にあるもの取り出し、それに名前をつけます。

あなたはラトビア出身ですね。ラトビアのアートの状況はどのようになっていますか?教えて頂けますか?

油絵のアーティストが多いです。それから、新しいメディアを使ったアーティストの作品で面白いものもあります。ラトビアのアーティストの多くは国外で活動します。市場が小さいため、アーティスとして活動するのが難しいのです。

現在もっとも興味深いのが「kim?」です。首都リガで活動をしているアート機構です。さまざまな概念の展示や研究討論会、ヨーロッパの講師を招いたり、こちらから講師を送り出したりといったことをしています。「kim?」はラトビア語の「Kas Ir Maksla?」の略で、「アートとは何か?」と言う意味です。

私も上海で他の二人のラトビア人アーティストと一緒に展示を行いました。

なぜ中国にやってきたのですか?またそのことであなた自身に変化などありましたか?

14歳のときに日本語の勉強を始めました。“俳句”や文字を美しいと思い、興味を持ちました。その後漢字はもともと中国から来たのだと知り、中国語を勉強し始めました。そして上海にやってきて、戯劇学院で演技の監督や中国文学を勉強しました。そしてイギリスで2年間大学院に通い、その後上海に戻り、アイランド6に。そこで彼らと一緒に、電気関係の作品をつくっていました。

中国は複雑な国です。各方面、それぞれ違った経験をすることができ、その感触があります。同時に、違う材料を実験することができるので、それにより新しいものが生まれます。

私は以前ずっと写真を撮っていました。まず自分を観察していましたが、自分のことだけではなくなりました。もしあなたがずっと自分を見ていたら飽きるでしょ?さまざまな方法で外の出来事を観察しました。自分を撮影しても、自分自身のことというわけではありません。

中国で活動することで困難なことはありますか?それはどんな部分ですか?

中国で外国人がアート活動をするのは少し難しいと思います。なぜなら、人々が関心を持つのは中国のアーティストだからです。中国にはさまざまな国のアーティストがいますが、多くのギャラリーは彼らの展示をあまり望みません。コレクターは中国人アーティストの作品を求めます。このことは外国人アーティストにとって困難なことです。現在、状況は少しずつよくなってきています。

上海にあるOVギャラリーは外国人アーティストを支持しています。これらいくつかのギャラリーは勇気があります。多くの人がここにやってきて、長い間留まります。私たちはそれぞれに違った考え方を持っています。それを一緒にして交流することに意義があります。そこからお互いに理解することを学びます。

あなたはヨンカンルー・アートを立ち上げました。ヨンカン通りにいくつかのアートスペースを開き、イベントや展示を行っています。ヨンカンルー・アートについてお聞かせ下さい。

ヨンカンルー・アートを始めてから一年経ち、家賃が上がりました。今はアートレジデンス・プログラムの空間のみを残しました。始めたころは家賃が安かったのに、時間が経つと全く変わってしまう。世界中こんな状況です。アーティストがそこに入ります。すると他の人たちがやってくる。カフェやデザインショップが入ります。

ヨンカン通りはどんどんよくなってきています。私が入ったばかりのころは洋服屋ばかりでした。現在私が1つ残した空間はヨンカン通りの路地を入ったところにあります。一般の人々が住んでいるところです。そこには一本の木があります。そこで、ヨンカンルー・アートの会社を「one white cherry tree with a flag on the road」と名付けました。こんなに変な会社の名前、もっと長かったらもっと面白いかなと思いました。少し空間はちいさいのですが、私は面白いと思います。

ヨンカンルー・アートの発展は早かったのですね。ヨンカン通りの良さとは何ですか?

そうです。一年です。あの頃は毎週イベントをしていました。ヨンカン通りには5つのスペースがありました。現在ヨンカン通りの路地を入ったところに改装をしているラオファンズ(上海の特色ある古い家)があります。その場所をまた検討しています。なぜなら、そこには一般庶民との交流があります。彼らがやって来て絵を見たり、自分の作ったものを持ってきたりします。30メートルもある水墨画を持ってきた人もいます。

スペイン人の展示の時です。作品はビニールの本、それを道に並べました。それを見た人が「この本はいくらですか?」と聞いてきました。まるで私たちは路上で本を売っているみたいでした。このように交流をしています。

どんな展示やイベントをしているのですか?

ドイツ、スペイン、中国、多くの展示をしました。初めての展示テーマは同姓愛です。毎週イベントをしていたのは、上海万博の頃です。ラトビアの大統領までやってきました。道路を封鎖したので、自転車に乗ったおばさんが怒っていました。その一年間は本当にたくさんの活動をしました。

ジャオジョウ通り(上海高層マンション火災のあった通り)に関する展示もしました。ここの事件は多くの人々が関心を持っています。そこで私は、人々がどれ程の間一つのことに関心を持っていられるのかに興味を持ちました。一ヶ月間毎日通い、全ての過程を撮影しました。その後メディアについても、彼らがどう報道するのかということも注目しました。私が驚いたのは、まずあの場所に花を売る人が現れ、その後保険を売る人までやってきたということです。一日一日少しずつ変化がありました。

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上海のアートスポット「M50」のすぐ近く、今はほぼ全て取り壊されてしまった「M120」(莫干山路120号)で2010年夏に行われた、「M120 re-used」という一日限りのアートイベントに参加しましたね。

さまざまなアーティストやギャラリーが参加しました。ヨンカンルー・アートは、白い衣装の二人と銃を持った人のパフォーマンスで参加しました。「これはいったい何だろう?何が起こったんだ?」と、人に思わせるのが私は好きなのです。

これからアーティストしてどのような作品を作りたいですか?またキュレーターとしてどんな展示をしようと考えていますか?

アーティストとして私は今新しいシリーズに取り組んでいます。長い時間をかけ思考を発展させ、撮影し制作しようと考えています。

キュレーターとしては一般庶民に関わることがしたいです。私が最も興味深いと思うのは、ヨンカンルー・アートのようなコミュニティー・アートです。ある一部の知識・お金を持っている人だけがアートを鑑賞するのではなく、一般庶民と交流をします。また、移動する展示というのも考えています。

その他、現在フランスで行う展示の準備をしています。ベルギーでの展示もあります。作品を出品しますし、キュレーションもします。来年の展示も控えています。その後は、少しずつやっていこうと考えています。

In memory of the perfect wife
会期:2011年7月9日〜8月29日
開館時間:10:00〜19:00(月曜休館)
会場:イファ・ギャラリー
住所:上海市常徳路621号
TEL:+86 21 6256 0835
http://www.ifa-gallery.com

ヨンカンルー・アート
住所:上海市永康路72号
TEL:+86 135 2405 2397
http://www.yongkanglu-art.com

Text: Hiromi Nomoto
Photos: Zhao Mingjie, courtesy of Ifa gallery

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