スタジオプレパ

PEOPLEText: Ayako Ishii

あたたかみがありどこか懐かしい、それでいて二つと同じもののないユニークなフォルム。そんな味わいを持ったスタジオプレパによるガラス食器の数々。現在では、使い手が少なくなってきている「吹きガラス」 の技法を用い、スウェーデンやイタリアの技術を取り入れて作られる作品は、どれもシンプルながら形や素材を大切している彼らの作風が表現されている。

メトロクス札幌で開催されている「使う 飾る ガラスの器」展にあわせて来店したスタジオプレパの2人に、吹きガラスにかける想いや夫婦で運営する小さな工房ならではの制作秘話を聞いた。

スタジオプレパ

自己紹介をお願いします。

スタジオプレパは、平勝久・瑞穂が長野で営む吹きガラス工房です。吹きガラスを始めて20年、スタジオプレパの屋号を掲げるようになって10年になります。スタジオプレパの由来はプレパレーション、つまり生活道具の支度部屋という思いを込めてです。作家であると同時にプロダクトメーカーを自負して、スーパーノーマルな食器づくりをしています。食器の制作に特化している吹きガラス工房というのは少ないので、なくてはならない社会の歯車として普段使いの食器を提供し続けて行きたいと思っています。

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制作過程について教えてください。

吹きガラスは、砂を1000℃以上の高温で溶解してガラスにし、吹き竿に巻き取って息を吹き込んで成形する、2000年以上も変わらないオーガニックな製法です。プレパでは工房に溶解炉を備えていて、自前で溶解から行っています。

古くから変わらない技法であると同時に、1時間で普通の家一軒が1ヶ月に消費するガスを使用していたり、需要の減少から工具を製造しているイタリアの職人さんが廃業してしまったりと、業界概況としてはなかなか厳しい現状です。

そんな中にあって、プレパでは小さな工房だからこそできるディテールを追究しています。たとえば、大量生産製品においては効率化などの観点から排除される染料なども含め、プレパでは全メーカー全色を取り揃えています。商社から在庫の問い合わせが来るほどです。

デザインから製作まで、全ての行程を自らの手で行います。デザイン起こしは、紙の上で2人で協議しながら行いますが、その他は得意不得意に応じて分担し、色選びや小さな物を吹くのは瑞穂、大物の扱いは勝久が行います。夫婦喧嘩の翌日は、大きさが激しくなったりすることも(笑)。

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ステファン・マークス
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