帯広コンテンポラリーアート 2011「真正閣の100日」

HAPPENINGText: Ayako Ishii

北海道の現代アート先進地、帯広を舞台に「帯広コンテンポラリーアート 2011 ー真正閣の100日ー」が5月28日から開催されている。

真正閣は、日本一の面積を誇る帯広市郊外の真鍋庭園の敷地内にある日本家屋で、1911(明治44)年に当時皇太子だった大正天皇の北海道行啓に合わせ休憩所として市内中心部に建築され、1969年に同庭園に移築されたもの。今年で竣工100年を迎える。

「真正閣の100日」は、帯広、旭川、北見、札幌のアーティストが集って、100日間(14週)に渡り「真正閣」の100年を祝いつつ、現代を反映した多彩なアートを展開する。

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半谷学

北海道内のアートシーンにおいて特に活発な動きを見せる帯広。神田日勝矢柳剛をはじめ、才能豊かな芸術家を輩出してきた。

1970年代からは十勝の現代アートの草分けとして活躍した佐野まさのを中心に幅広い活動を展開し、1997年には「とかちのアートを考える会」を発足。現代アートによる「まちづくり」を提案し、形を変えながら様々な活動実績を重ねてきた。2002年とかち国際現代アート展「デメーテル」や、十勝千年の森を会場にした2003年「十勝千年の森=水脈の森・万象の微風」は記憶に新しい。

2006年には、いち早く環境アートに取り組んできたメンバーにより新たに「帯広圏現代アートパーティ」が組織され、十勝の自然環境に根ざしたアートを通じ、北方圏アートとして十勝固有の文化の創造や、観光・教育・産業と連動した地域発展などを目指した。

この時に集った仲間たちが初めて真鍋庭園を舞台に展示を行ったのが2008年。野外アート展やナイトガーデンなどのイベントを行った。2009年には、初めて真正閣を会場にした屋内展示「真正閣の10日間」を開催、好評を博した。今回の「真正閣の100日」は、真正閣の100年を契機に、北見、旭川、札幌など親交のあるアーティストにも呼びかけ、脈々と受け継がれてきた帯広現代アートの流れを再確認するエポックメイキングな展覧会でもある。

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真鍋智紀 (株式会社 真鍋庭園緑化代表取締役)講演「大地の芸術」

実行委員長の池田緑は『アーティストが自分の暮らす土地から発信できることは喜ばしいこと。訪れる方々には豊かな緑に囲まれた歴史ある建物と、現代芸術の共演を楽しんでほしい。シンプルな思想に基づきながらも、100日間を通じて変化を持たせた構成になっているので、好みの作家を目当てに訪れるなど多様な喜びを感じてほしい。』と話す。

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