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ヴォルサロンゲン 2011

HAPPENINGText: Sara Överengen

90年前から変わらず、ストックホルムで一番早い春の兆しを見つけられるのが「ヴォルサロンゲン」。「スプリング・パーラー(春の展示会)」という意味を持つこのイベントは、リリエバルク美術館で開催されている。毎年行われるこの展示会は、ストックホルムの住民の間でとても人気があり、館内はいつも多くの人で混雑している。今年の展示会では255作品が出品されており、それらは131名のアーティストによるもので、みな18~86歳までのスウェーデン出身者だ。スプリング・パーラーには誰でも出品することができ、他ではめったにないユニークな表現方法も寛容的に受け入れられている。ここでは、若さと老い、斬新と古典、美しさと醜さなど、あらゆる表現技術の組み合わせに出会うことができるだろう。

ヴォルサロンゲン 2011

スプリング・パーラーでは匿名で出品するため、作品の評価は作者の年齢や性別の偏見なく行われる。出品に応募するには、18歳以上でスウェーデン在住者であることが条件となっている。この展示会は毎年、スウェーデンのマスコミからは酷評を受けており、例えばタブロイド紙の「エクスプレッセン」は今年の展示について、「ヴォルサロンゲンはいつもどこかが悪い。総じて絶望的な展示会で、255点の作品の中には一貫したテーマがない。」と書いている。これについては筆者も同感だ。しかし、それこそがスプリング・パーラーなのである。テーマなどなく、境界線も何もない。ここでは、最も公平で率直な展示方法でアートを体験できる。純粋に楽しめるアートなのだ。

この”スプリング・パーラー”の他に、「オング・ボルサロン」も開催されている。「ヤング・スプリング・パーラー」と呼ばれ、リリエバルク美術館の地下で開催されている。ここでは、若くて野心的なアーティストの作品が展示されている。出品の条件はただひとつ、18歳未満であることだ。

今年は新たにQRコードの利用を試みている。作品の隣に備え付けてあるQRコードを電話で読み取ると、作品に関する情報をダウンロードできるようになっている。あなたのスマートフォンをアートフォンにしてみてはいかがだろうか。

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アラビア生まれのサラ・ミルザジャンザデーは、今年のスプリング・パーラーの中で最も目を引く展示を行った。巨大なチャードル(アラビアの黒いベール)と接着剤、カラフルなスパンコールで制作されたその作品は、「皆既食」と名付けられている。スパンコールはひとつひとつ落ちていき、館内に散らばっていく。それによって彼女のアートが会場全体に広がるのである。

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カローラ・メスナーは、芸術については独学で学んでいる。彼女が本来専門としている職業は、神経科の医師である。今回の展示には、菩提樹(ぼだいじゅ)で作った手彫りの彫刻作品を2点出品し、「いのちの環」、「進化」と名付けた。その仕上がりは職人技に溢れている。全ての出展作品は隔年で販売されることになっており、価格はアーティスト自身が決める。メスナーは「これを売りたくないの。ずっと持っていたい。」と言って、それぞれに50万スウェーデン・クローナ(約650万円)の価格を付けた、それは58,000ユーロに相当する。

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